男性がいなくなった後、後ろから声をかけられた
ドアが閉まると同時に、車内の空気がふっと和らぎます。「男性がいなくなった途端、ふと自分の足が震えていることに気がつきました。疲れていたのもあってつい、勢いで普段なら言えないようなことを言ってしまったんだと思います」
さっきまでの冷静な言葉とは裏腹に、心臓はバクバクと激しく打ち続けていました。
「『ちょっと調子に乗っちゃったかな?』そんな不安がよぎったそのとき。『あの、ありがとうございます。助かりました』と、すぐ後ろにいた女性が声をかけてきて、振り向くとほっとしたような表情で軽く頭を下げてくれたんですよ」
さらに別の乗客も、目が合うと笑顔で小さく頷いてくれたそう。
「その瞬間、なんだか周りの乗客の皆さんと繋がれたような……そんな温かな余韻が胸に広がっていきました。あぁやっぱり、あのおじさんに注意して本当によかったなと思えたんですよね」と微笑む麻美さんなのでした。
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop

