本当に大きな変化はここから始まる?
今回のJASRACの発表から見えること。それはAIを利用した楽曲がすでに大量に世に出ている中、どのような作品なら管理対象にすべきなのかについての指針を策定した段階であるということです。
かつてはパソコンを使用して音楽を作成、編集する「DTM」や、歌声合成ソフト「ボーカロイド」が登場し、今度は生成AIが登場しました。音楽制作の道具は変わり続けています。
しかし、著作権制度が守ろうとしているのは道具ではなく、あくまで人間による創作です。AIがどれほど進化して人間の手が不要となっても、最後に確認すべきなのは「その作品に人間の創作的関与があるのか」という点なのかもしれません。
さらに日本では、生成AIを巡る議論の背景として著作権法30条の4の存在があります。同条は、著作物を「鑑賞するため」ではなく情報解析等の目的で利用する場合、一定の条件のもとで著作権者の許諾を不要とする規定です。生成AI開発会社は大量の文章、画像、音楽を学習させる必要があると主張しており、現在そういった行為が30条の4によって適法と解釈されることがあります。
しかしJASRACは、自分の作品がAI学習に利用されているかどうかを知ることも難しく、「学習に使わないでほしい」と意思表示する機会すら十分に確保されていないと問題提起し、このままでは創造のサイクルが壊れると警鐘を鳴らしています。
古来より、音楽は人間の創作によって発展してきました。一方で、生成AIはこれまでにないスピードで音楽制作のあり方を変えようとしています。
今回のJASRACの問題提起は、その変化に対し、どのようなルールが必要なのかを考える時期に差し掛かっていることを実感させます。
