バセドウ病と橋本病が併発する原因

なぜバセドウ病と橋本病が併発するのですか?
主な理由は、どちらも自己免疫の異常によって起こる甲状腺の病気だからです。バセドウ病は甲状腺を刺激する自己抗体が働いて甲状腺ホルモンが増えやすくなり、橋本病は甲状腺に対する慢性的な自己免疫反応によって炎症や機能低下が起こりやすくなります。もともとの体質や免疫の働きに共通点があるため、両方の性質が重なることがあります。
また、自己免疫の働き方はいつも一定ではなく、甲状腺を刺激する方向が強く出る時期もあれば、炎症や機能低下が目立つ時期もあるため、経過のなかでバセドウ病と橋本病の特徴が重なってみえることがあります。家族内で両者が集まりやすいことも知られており、遺伝的な背景が共通していることも関係すると考えられています。
参照:『Graves’ Disease and the Manifestations of Thyrotoxicosis』(Endotext)
バセドウ病と橋本病の関係を教えてください
バセドウ病と橋本病は、まったく無関係の別の病気というより、同じ自己免疫性甲状腺疾患のなかで近い関係の病気です。バセドウ病は甲状腺機能亢進症、橋本病は甲状腺機能低下症の代表的な原因ですが、どちらも甲状腺に対する自己免疫の異常が背景にあります。そのため、バセドウ病から橋本病のような状態へ移ることや、反対に橋本病の経過中にバセドウ病のような状態が前面に出ることもあります。
バセドウ病と橋本病が併発している場合の検査と治療

バセドウ病と橋本病の併発が疑われる場合の検査方法を教えてください
まず基本になるのは、甲状腺機能をみる採血です。具体的には、TSH、FT4、FT3を測って、いま甲状腺機能が亢進しているのか、低下しているのかを確認します。あわせて、TRAb(TSH受容体抗体)はバセドウ病の評価に重要で、TPO抗体(抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体)やサイログロブリン抗体は橋本病を含む自己免疫性甲状腺炎の評価の参考にします。
また、甲状腺の超音波検査も役立ちます。バセドウ病は甲状腺全体の血流が増えてみえやすく、橋本病は慢性炎症に伴う不均一な所見がみられることがあります。また、甲状腺中毒症があるときに、それがバセドウ病なのか、橋本病の一時的な甲状腺中毒症なのかを見分ける必要がある場合には、放射性ヨウ素摂取率検査やシンチグラフィが検討されます。TRAbが陰性またははっきりしない場合に、こうした検査が鑑別に役立ちます。
バセドウ病と橋本病が併発している際の治療方法を教えてください
治療は、バセドウ病と橋本病それぞれに対して同時に別々の治療をするというより、その時点で前面に出ている甲状腺機能異常に合わせて行うのが基本です。甲状腺機能亢進が目立つときは、抗甲状腺薬を使ってホルモンの作られすぎを抑えます。一方で、橋本病の影響が強くなって甲状腺機能低下症になっているときは、不足した甲状腺ホルモンを補います。経過のなかで甲状腺機能が変動することがあるため、定期的な採血でTSH、FT4、FT3を確認しながら治療を調整することが大切です。例えば、最初は抗甲状腺薬が必要でも、その後に甲状腺機能低下が前面に出てくることがあります。逆に、橋本病の経過中に一時的な甲状腺中毒症状が問題になることもあります。そのため、症状だけでなく、採血結果を見ながら治療方針をこまめに見直すことが重要です。

