往診と訪問診療で受けられる医療

往診・訪問診療ともに、問診や診察、処方、注射・点滴、簡易な処置や検査など、通院とほぼ同様の医療を自宅や施設で受けることができますが、対応内容や体制は医療機関によって違います。
診察や検査の範囲
往診や訪問診療では、通院時と同様に問診・視診・触診・聴診などの基本的な診察を受けることができます。血圧・脈拍・体温・酸素飽和度などのバイタル測定に加え、採血検査や尿検査、インフルエンザなど一部の迅速検査を在宅で実施できる場合もあります。
また、必要に応じて注射・点滴、創傷処置、褥瘡のケア、カテーテル交換や在宅酸素療法の管理なども行います。ただし、CT・MRI・内視鏡検査など大がかりな検査や高度な処置は在宅では対応が難しく、必要があれば連携先の医療機関への紹介や入院の調整が検討されます。
点滴や処置への対応
往診や訪問診療では、脱水時の補液点滴や抗菌薬点滴、疼痛緩和のための注射など、医師の判断のもと必要な点滴治療や医療処置を在宅でも受けることができます。多くの場合、末梢静脈からの点滴や皮下注射・筋肉注射が中心となり、訪問看護師と連携しながら、褥瘡や創傷の処置、カテーテル管理、在宅酸素や経管栄養の管理なども行います。
ただし、使用できる薬剤の種類や高度な処置には一定の制限があり、専門的な管理が必要な抗がん剤点滴などは原則として病院で対応するなど、在宅で可能な範囲と医療機関で行うべき治療を適切に分けて考えることが大切です。
緊急時や夜間の対応体制
在宅医療では、緊急時や夜間・休日の対応体制がどうなっているかを事前に確認しておくことが大切です。多くの在宅療養支援診療所や訪問診療クリニックでは、24時間365日連絡可能な電話番号を患者さんやご家族に伝え、急な発熱や呼吸苦などの際にはまず電話で症状を聞き取ったうえで、往診が必要か、救急搬送が適切か、自宅で様子を見られるかを判断します。
また、夜間や休日の往診は当番医が対応し、必要に応じて連携病院への入院手配まで行う仕組みを整えている医療機関も多く、定期的な訪問診療と併せて昼夜を通じた安心感がある在宅療養を支える体制になっています。
参照:『地域包括ケアシステムと在宅医療』(日本医師会)
往診と訪問診療の費用の違い

往診と訪問診療はいずれも医療保険が適用されますが、1回ごとの往診料が中心となる往診に比べ、訪問診療は訪問診療料と月単位の管理料などを組み合わせた仕組みになっており、緊急性や時間帯、訪問頻度によって自己負担額が変わってきます。
往診にかかる費用の目安
基本となる往診料に、診察内容に応じた検査・処置料や時間外・緊急時の加算などが上乗せされる仕組みになっています。自己負担3割の場合、平日日中の往診でもおおむね4,000〜8,000円前後が目安とされ、夜間・深夜や検査・点滴などが追加されると1万円を超えることもあります。
また、医療機関によっては医師の交通費が別途必要なケースもあるため、依頼前に費用の見込みを確認しておくと安心感が高まります。
参照:
『訪問診療・往診等における 距離要件について』(厚生労働省)
『診療報酬点数 往診料』(今日の臨床サポート)
訪問診療にかかる費用の目安
1回ごとの在宅患者訪問診療料と、月単位で算定される在宅時医学総合管理料などを組み合わせて計算される仕組みになっています。高齢の方で自己負担1割の場合、自宅で月2回ほど訪問診療を受ける標準的なケースは、1ヶ月あたり6,000〜8,000円前後が目安とされ、3割負担の方では18,000〜24,000円程度になると説明している医療機関もあります。
これに、採血検査や点滴、在宅酸素など個別の医療行為の費用が加わることもあるため、実際の自己負担額は病状や訪問回数によって変動し、詳しい金額は利用予定の医療機関であらかじめ確認しておくと安心感が高いです。
参照:
『診療報酬点数 在宅患者訪問診療料』(今日の臨床サポート)
医療保険と介護保険の適用
往診と訪問診療は、基本的に診察・検査・処置など医療行為にかかる費用は公的医療保険が適用されますが、療養生活の管理や指導など、一部のサービスには公的介護保険が使える場合があります。
訪問診療や往診そのもの(診察・治療・検査・投薬など)は医療保険の対象となり、患者さんの年齢や所得区分に応じて自己負担1〜3割を支払います。
一方、医師や薬剤師、管理栄養士などが自宅を訪れて療養上の指導や生活面の助言を行う居宅療養管理指導などは介護保険のサービスとして位置付けられており、要介護認定を受けている方が対象です。
在宅医療は、医療保険と介護保険を組み合わせることで、診療と生活支援の両方をカバーできるようになっている点が大きな特徴です。

