フレイル予防の3つの柱

フレイル予防には栄養(食・口腔)、運動(身体活動)、社会参加(人とのつながり)の3つの柱があり、これらのバランスよい実践が重要です。
栄養|身体を支える食事
栄養はフレイル予防の基本的な柱であり、特に高齢期には筋肉量の維持や免疫機能の保持に欠かせません。加齢とともに食欲が低下し、食事量が減少すると、たんぱく質やエネルギーが不足して低栄養状態に陥りやすいです。
低栄養は筋肉量の減少(サルコペニア)を引き起こし、身体的フレイルの主要な原因です。予防には、肉・魚・卵・大豆製品などのたんぱく質を毎食しっかりの摂取が推奨されます。また、多様な食品をバランスよく食べることで、ビタミンやミネラルなどの必要な栄養素を十分に摂取できます。
参照:『フレイル予防でハツラツと』(日本フレイル予防サービス振興会)
運動|身体機能を維持
運動は筋力や体力を維持・向上させ、身体的フレイルを予防するために不可欠な柱です。加齢に伴う筋肉量の減少や筋力低下を防ぐには、日常的な身体活動の継続が重要です。特にウォーキングなどの有酸素運動と、スクワットや筋力トレーニングなどのレジスタンス運動を組み合わせることで、持久力と筋力の両方を効果的に高めることができます。
運動習慣は転倒予防にもつながり、骨折のリスクを減らして要介護状態への移行を防ぎます。また、運動は身体面だけでなく、認知機能の維持や気分の向上など、精神・心理的な健康にもよい影響を与えます。
参照:『総論 フレイルの全体像を学ぶ 4.運動によるフレイル予防:最新のエビデンス』(公益財団法人長寿科学振興財団)
社会参加|心と生活の活力を保つ関わり
社会参加は、人とのつながりや地域活動への参加を通じて、精神・心理的フレイルと社会的フレイルを予防する重要な柱です。孤立や閉じこもりは意欲の低下やうつ状態を招き、身体活動の減少にもつながって、フレイルの悪循環を引き起こします。
趣味のサークルや地域の集まり、ボランティア活動、通いの場などへの参加で、人との会話や交流が生まれ、生きがいや役割を持つことができます。研究では、社会参加が活発な高齢の方ほどフレイルになりにくく、認知機能も維持されやすいことが示されています。就労的活動の参加でフレイル予防効果が高まることも報告されています。
参照:『高齢者の社会参加とフレイルとの関連:JAGES2016-2019縦断研究』(日本公衆衛生雑誌)
日常生活でできるフレイル予防の具体策

フレイル予防は特別なことではなく、日常生活のなかで栄養・運動・社会参加の3つの柱を意識した小さな工夫を積み重ねることで実践できます。毎日の食事、ちょっとした身体活動、人との何気ない交流が、健康寿命を延ばす大切な取り組みです。
バランスのよい食事と口腔ケアの工夫
バランスのよい食事は、フレイル予防の基本です。毎食、主食・主菜・副菜を揃え、特にたんぱく質を意識しての摂取が重要です。肉・魚・卵・大豆製品などを毎食取り入れ、筋肉量の維持に必要な栄養を確保します。また、野菜や果物、乳製品など多様な食品を食べることで、ビタミンやミネラルもバランスよく摂取できます。一日3食を規則正しく食べ、欠食を避けることも大切です。
口腔ケアも同様に重要で、歯やお口の健康が損なわれると、噛む力や飲み込む力が低下し、食事量の減少や栄養不足につながります。毎食後の歯磨きや義歯の手入れを丁寧に行い、定期的に歯科検診を受けることで、口腔機能を維持できます。また、よく噛んで食べることを意識したり、お口の体操(パタカラ体操など)を行うことで、口腔機能の低下を防ぐことができます。
参照』『口腔ケアの方法~お口の体操編~』(丹波市)
自宅でできる運動習慣
自宅でできる運動習慣は、フレイル予防に効果的で、天候や外出が難しい場合でも継続しやすい方法です。
まず、ウォーキングの代わりに室内での足踏み運動や階段の上り下りを行うことで、有酸素運動の効果が得られます。
また、スクワットは下半身の筋力を維持する代表的な運動で、椅子を使った立ち座り運動から始めると安全性を高めて行えます。壁や手すりにつかまっての片足立ちは、バランス感覚を養い、転倒予防に役立ちます。ラジオ体操やストレッチも、全身の柔軟性を高め、関節の可動域を維持するのに効果的です。テレビをみながら足首を回したり、座ったまま膝を伸ばす運動をしたりと、日常生活のなかでながら運動を取り入れることも有効です。毎日決まった時間に行う習慣をつけることで、継続しやすいです。
参照:『健康長寿を実現する運動』(健康長寿ネット)
外出や交流を増やすための工夫
外出や交流を増やすことは、社会的フレイルを予防し、生きがいや活力を維持するために重要です。地域の通いの場やサークル活動、趣味のグループ参加で、定期的に外出する機会が生まれ、同じ興味を持つ仲間との交流が楽しめます。自治会やボランティア活動に参加すると、地域への貢献を通じて役割や生きがいを感じることができます。
また、近所への買い物や散歩を日課として、自然と外出習慣が身につき、地域の方との挨拶や立ち話などの何気ない交流も大切なコミュニケーションです。
さらに、趣味の教室やスポーツクラブ、図書館、公民館などの公共施設の利用で、新しい出会いや学びの機会が広がります。一人での外出が不安な場合は、家族や友人と一緒に出かけることから始め、徐々に活動範囲を広げていくとよいです。
参照:『フレイルと社会参加 』( 健康長寿ネット)

