褥瘡を予防するためのケア方法

褥瘡予防は、圧力を同じ場所にかけ続けないこと、皮膚の清潔を保ち乾燥しすぎないようにすること、栄養状態を整えることを組み合わせます。どれか一つだけではなく、生活状況に合わせて継続できる方法を選びましょう。
介護する方だけで抱え込まず、訪問看護師、医師、ケアマネジャー、管理栄養士、福祉用具専門相談員に相談すると、身体の状態や住環境に合った方法を検討しやすくなります。
体位変換とポジショニング
体位変換は、同じ部位の圧迫を避けるために行います。基本的に2時間を超えない範囲で体位変換を行いましょう。体圧分散寝具の種類によっては、4時間を超えない範囲で体位変換を行ってもよい場合がありますが、自己判断で間隔を延ばさず、医療・介護職に相談しましょう。
横向きにするときは、真横ではなく、背中側にクッションを入れて30度程度の角度をつけましょう。これは、骨が突出している大転子部への圧力を避け、殿部の広い面で体重を支えるための方法です。ただし、痛みや拘縮、呼吸状態によって合わない場合もあります。
ポジショニングは、クッションを単に挟むだけでなく、身体がずれないように支えることがポイントです。踵は寝具から浮かせる、膝同士が当たる部分にはクッションを入れる、背上げ時は身体が下がらないよう姿勢を整えるなど、好発部位への圧力を減らしましょう。
体圧分散用具の活用
体圧分散用具には、体圧分散マットレス、エアマットレス、クッション、踵を浮かせる用具などがあります。目的は、体重を広い面で支え、骨の突出部に圧力が集中しないようにすることです。
自力で寝返りが難しい方、すでに赤みがある方、体重減少で骨が目立つ方は、通常の布団やマットレスだけでは圧力が残ることがあります。福祉用具専門相談員や訪問看護師に、体格、動ける範囲、介護環境に合う用具を相談しましょう。
円座やドーナツ型クッションは、一部に圧力が集中したり、血流を妨げたりするおそれがあります。使用を考える場合は、自己判断で長時間使わず、医療・介護職に確認しましょう。
スキンケアと栄養管理
スキンケアは、皮膚を清潔に保ち、乾燥と湿りの両方を避けましょう。尿や便が付着した場合は、こすらずに洗浄し、必要に応じて保護クリームを使いましょう。洗浄剤を使うときは、よく泡立てて洗い、成分が皮膚に残らないように流しましょう。
乾燥しやすい皮膚には保湿を行いましょう。骨が出ている部位は摩擦を受けやすいため、衣類やシーツのしわを整え、移動時は引きずらないようにしましょう。介助量が多い場合は、スライディングシートなどを使うと皮膚への摩擦を減らせます。
栄養管理は、食事量、体重減少、むくみ、脱水の有無を確認しましょう。褥瘡の予防や治癒のためには、エネルギーとたんぱく質を十分に摂取しましょう。食事量が減っている、体重が急に落ちた、傷の治りが遅いときは、医師や管理栄養士に相談しましょう。
好発部位の観察と受診の目安

褥瘡は、早期に気付いて圧迫を取り除くことで、悪化を防ぎやすくなります。観察のタイミングは、起床時、就寝前、おむつ交換、入浴、清拭、着替えのときが取り入れやすいでしょう。
観察する際は、赤みの有無だけでなく、皮膚の熱感、硬さ、むくみ、水ぶくれ、ただれ、痛みの訴え、浸出液、においも確認します。本人が痛みを伝えにくい場合は、表情や身体を避ける動きも手がかりです。
指押し法による皮膚の観察
好発部位に赤みがある場合は、指押し法という観察方法を試してみましょう。指押し法は、人差し指で赤い部分を軽く3秒ほど圧迫し、白っぽく変化するかどうかを確認します。
押した部分が白っぽくなり、指を離すと再び赤くなる場合は、一時的な反応性充血と考えられます。一方、押しても赤みが消えない場合は、初期の褥瘡が疑われます。その部位に圧力がかからない体位に変え、経過を観察しましょう。
指押し法は目安であり、すべてを判断できる方法ではありません。皮膚の色が濃い方は赤みがわかりにくいこともあります。色だけでなく、熱感、硬さ、痛み、腫れを一緒に確認しましょう。
参照:『褥瘡について』(日本褥瘡学会)
発赤やただれなどの早期サイン
早期サインには、押しても消えない赤み、紫色や暗い赤色の変色、熱感、皮膚の硬さ、むくみ、水ぶくれがあります。皮膚がむける、ただれる、浸出液が出る場合は、浅い傷ができている可能性があります。
赤みが出たときは、まず圧迫を避けましょう。仙骨部なら横向きやクッションで除圧し、踵なら浮かせる方法を検討します。
おむつや寝衣が濡れている場合は交換し、皮膚を清潔にしましょう。赤みの範囲を記録しておくと、変化を専門職へ伝えやすくなります。
発赤の周囲を強くもむことは避けましょう。傷んだ皮膚に摩擦や刺激を加えると、状態が悪化することがあります。マッサージではなく、圧迫を取り除き、皮膚を守るケアを優先しましょう。
医療・介護職に相談するタイミング
指押し法で赤みが消えない場合、水ぶくれやただれがある場合、浸出液や出血がある場合は、医師または看護師に相談しましょう。発熱、悪臭、強い痛み、周囲の腫れや熱感がある場合は、感染を伴う可能性があります。
在宅介護の場合は、訪問看護師やケアマネジャーに写真や観察メモを共有すると状況が伝わりやすいです。赤みをみつけた日時、部位、大きさ、押したときの変化、体位変換後の変化を記録しましょう。
判断に迷う赤みでも、同じ場所に繰り返し出る場合は相談しましょう。褥瘡は早い段階ほどケアを見直しやすいため、様子を見続けるより、早めに専門職へ確認することが大切です。

