クレーター状のへこみ、色素沈着、開いた毛穴……。ニキビが治った後も残る肌悩みは、セルフケアだけでは限界があります。ピーリング(薬剤などで古い角質を取り除く治療)や注射など、美容医療にはさまざまな選択肢があるものの、症状によって適した施術は異なります。それぞれの特徴と違いや、後悔しない治療選びのポイントについて、GRACY TOKYO CLINIC院長の大西先生に解説してもらいました。
※2026年5月取材。

監修医師:
大西 真代(GRACY TOKYO CLINIC)
2009年、東海大学医学部を卒業。大手美容クリニック院長、HAAB BEAUTY CLINIC院長歴任後、2024年にGRACY TOKYO CLINIC院長に就任。日本美容外科学会会員、日本美容皮膚科学会会員、アラガン施注資格認定医師。
ニキビ跡や毛穴が目立つのはなぜ?
編集部
ニキビ跡が残ってしまうのは、なぜでしょうか?
大西先生
ニキビの炎症が長引いたり、治療が遅れたりすることで跡が残ることがあるからです。最初は毛穴に皮脂や角質が詰まった白ニキビとして始まり、炎症が強くなると赤ニキビになります。この炎症を放置すると、皮膚の奥までダメージが及び、赤み、色素沈着、へこみなどにつながることがあります。特に、赤く腫れたニキビが長く続いたり、同じ場所に繰り返しできたりすると、ニキビ跡になりやすいため、早めに治療をすることが大切です。
編集部
ニキビ跡は治るのでしょうか?
大西先生
時間の経過とともに自然と治ることもありますが、治り方には個人差があります。もし1カ月たっても赤みが落ち着かない、茶色が残っている、しこりのようになっているといった場合は、何らかの医療的な処置を検討したほうがよいでしょう。そもそもニキビ跡を作らないために大切なのは、できたニキビをその都度、適切なタイミングで治療することです。早めの治療を繰り返すことで、炎症を長引かせず、ニキビ跡を残しにくい肌を目指せます。
編集部
毛穴が目立つのには、どのような原因があるのでしょうか?
大西先生
毛穴が目立つ大きな理由の一つは、皮脂の分泌が過剰になることです。皮脂が多く出ると、毛穴に皮脂や角質がたまりやすくなり、毛穴が開いて見えたり、黒ずみや角栓として目立ったりします。皮脂量には遺伝的な体質が大きく関係し、ストレスやホルモンバランス、食生活、睡眠不足などの影響を受けることもあります。また、毛穴そのものの大きさにも個人差があり、遺伝的な要因が大きい場合もあります。
編集部
ニキビ跡と毛穴は関係しているのでしょうか?
大西先生
ニキビ跡と毛穴の目立ちは関係しています。そもそもニキビは毛穴で起こる炎症です。皮脂分泌が多く、毛穴が大きめの人はニキビを繰り返しやすく、その炎症によって毛穴周囲の皮膚組織が傷ついてしまいます。その結果、皮膚に色素沈着や凹凸が残り、毛穴が実際よりも大きく見えてしまうのです。
編集部
年齢とともに毛穴が目立ちやすくなることはありますか?
大西先生
あります。加齢によりコラーゲンやエラスチンが減少すると、肌のハリや弾力が低下します。さらに、骨格や皮下脂肪のボリュームも少しずつ小さくなり、皮膚が下垂しやすくなります。家に例えると、柱が縮むことで外側の壁がゆるむような状態です。そのゆるみやよれによって毛穴が縦に伸び、「たるみ毛穴」として目立つことがあるのです。
また、若いころは気にならなかったニキビ跡や肌の凹凸も、年齢とともに肌の弾力が低下することで皮膚がよれてきて、よりはっきり見えるようになることがあります。
ニキビ跡や毛穴への施術
編集部
ニキビ跡や毛穴に対して、医療機関ではどのような施術が行われるのでしょうか?
大西先生
ニキビ跡や毛穴の治療には、肌の再生力を高めたり、皮脂詰まりを除去して毛穴を引き締めたりする治療が行われます。ただし、肌悩みの種類によって適した施術が異なるため、まずは正確な診断を受けることが出発点になります。
編集部
へこんだニキビ跡に向いている施術を教えてください。
大西先生
へこんだニキビ跡には、内部の癒着を解除したり、肌の新陳代謝(肌の生まれ変わり)や再生を促す治療が向いています。炎症によって皮膚の深い部分がダメージを受けると、肌表面にへこみが残ることがあります。その場合、へこんだ部分の皮膚の癒着を解除するためにサブシジョン(針で皮膚下の組織を切り離し、ニキビ跡のへこみを改善する治療)を行ったり、肌育注射(肌の修復や再生を促す成分を注入する治療)を行ったりして、皮膚の修復や再生を促し、内側から整える治療を検討します。また、ポテンツァ(マイクロRFニードル/微細な針で肌に小さな穴を作り、熱を加えてターンオーバーを促す)のように、微細な針と高周波を組み合わせた治療によって肌の新陳代謝を促し、凹凸をなめらかに整える方法もあります。
編集部
色素が気になるニキビ跡には、どのような治療が向いているのでしょうか?
大西先生
色素沈着タイプのニキビ跡には、肌の新陳代謝を促し、メラニンの排出を助ける治療が向いています。代表的なものとしてはポテンツァ、ピーリング、ダーマペン(極細の針で肌に微小な穴を開け、肌の自然治癒力を促す美容医療機器)などがあります。古い角質を取り除いたり、肌に微細な刺激を与えたりすることで、新陳代謝を促し、色素沈着を少しずつ目立ちにくくします。また、肌育注射を併用することもあります。例えば、ピンクグロー(肌育注射の製剤の一種)などを選択的に色素の強い部分に注射することで、色素沈着を薄くしたり、肌全体のくすみや色ムラの改善を目指したりします。
編集部
赤みが気になるニキビ跡には、何をすればよいのでしょうか?
大西先生
ニキビ跡の赤みは、皮膚の中に炎症が残っている場合と毛細血管の過剰な発達が関係している場合があり、治療が難しいケースも少なくありません。美容皮膚科では、肌育注射で内側から炎症をコントロールしたり、ポテンツァのような治療で熱エネルギーを加え、赤みを抑えたりすることがあります。また、外用薬を使って炎症を落ち着かせることもあり、アゼライン酸など赤みや炎症にアプローチする成分を取り入れる場合もあります。さらに、光治療(赤みに選択的に反応する波長の光を肌に照射する治療)によって赤みの改善を目指すこともあります。
編集部
具体的に、何回くらい治療が必要なのでしょうか?
大西先生
ポテンツァはニキビ跡の種類によって必要な回数が変わります。色素沈着や赤みの場合は、目安として5回程度の治療で変化を感じる人が多いですね(※)。一方、凹凸のあるニキビ跡は皮膚の深い部分までダメージが及んでいるため、改善には10回以上かかることもあります(※)。より早く効果を出したい場合は、肌育注射やサブシジョンなどを組み合わせることもあります。※個人差があります
編集部
毛穴の開きには、どのような施術が有効なのでしょうか?
大西先生
毛穴の開きが皮脂分泌の多さによる場合、イソトレチノイン(※)の内服が選択肢の一つです。皮脂腺を小さくし、皮脂分泌を抑える作用が期待できるため、遺伝的に皮脂が多いタイプでは、ピーリングだけでは元に戻りやすい毛穴の開きにもアプローチしやすくなります。一般的には1クール6カ月で治療を行うことで、治療後も2〜3年は皮脂量が減った状態が続くとされています。また、開いた毛穴を完全に閉じるのは難しいため、ターンオーバーを促し、毛穴詰まりを起こしにくい肌状態へ整えることも大切です。クリニックでのピーリングや、自宅でのレチノール(ターンオーバーを促すビタミンAの一種)などを使ったケアは、ターンオーバーの改善に有効です。
※イソトレチノインは、日本国内では承認されていない医薬品です。海外では重症ニキビに用いられますが、催奇形性があり妊娠中・妊娠の可能性がある人は服用できないほか、肝機能障害などの副作用も報告されています。医師の管理の下で使用する薬で、国内未承認のため、使用により健康被害が生じても医薬品副作用被害救済制度の対象とはなりません。検討時は医師から十分な説明を受けてください

