腹膜癌のステージ分類はどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医が腹膜癌の概要とステージの分類方法、ステージの種類について解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「腹膜癌のステージ分類」はご存知ですか?ステージ別の症状も解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
上 昌広(医師)
東京大学医学部卒業。東京大学大学院修了。その後、虎の門病院や国立がん研究センターにて臨床・研究に従事。2010年より東京大学医科学研究所特任教授、2016年より特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所理事長を務める。著書は「復興は現場から動き出す(東洋経済新報社)」「日本の医療格差は9倍医療不足の真実(光文社新書)」「病院は東京から破綻する(朝日新聞出版)」「ヤバい医学部(日本評論社)」「日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか(毎日新聞出版)」。
そもそも腹膜癌とは

腹膜癌とは、腹部の一部または全体を覆っている「腹膜」と呼ばれる組織から発生する癌のことです。
腹膜癌は、他の臓器からの癌細胞の転移によって起こるとされ、原発性のものは稀なようです。
腫瘍の性質は卵巣癌に類似しており、病理学的にはほとんどが「漿液(しょうえき)性腺癌」に分類されます。
漿液性腺癌で腹腔内に腫瘍があっても、卵巣癌や卵管癌ではない場合に、腹膜癌と診断されます。
腹膜癌の原因は明らかではありませんが、卵管上皮から発生する「上皮内癌」が元となっているという見方もあります。
また、遺伝的な要因や生活習慣なども関係している可能性があります。
腹膜癌は、初期には無症状であることが多いとされ、進行すると腹水が溜まることによる腹部膨満感や、腹痛などを自覚する場合があります。
診断は、手術や画像検査、血液検査などで行われます。
治療法は、手術や抗癌剤治療などで、卵巣癌と同じ方法を用いることが多いようです。
腹膜癌は珍しい癌であり、検診や予防法も確立していません。
そのため、早期発見や早期治療が重要です。
不安や疑問がある場合は、医師に相談しましょう。
腹膜癌のステージの分類方法とは

腹膜癌のステージとは、癌の進行度や広がりを示す指標です。
ステージは、癌の大きさや位置、リンパ節への転移の有無、他の臓器への転移の有無などによって決まります。
腹膜癌のステージは、T因子、N因子、M因子という3つの要素で表されます。
T因子
T因子とは、原発巣(癌が最初に発生した場所)の大きさや位置を示す要素です。
T因子は、0~4の数字で表されます。
数字が大きいほど、癌が深く浸潤していることを意味します。
T0:癌が粘膜内に留まっていることを示す
T2:腹膜を超えて近隣の組織や器官に広がっている状態
T3:さらに癌が深く進行していることを示す
T4:隣接する大きな血管や主要な器官への浸潤を示す
T因子のステージが高いほど、癌が進行していることを意味します。
N因子
N因子とは、リンパ節への転移の有無や数を示す要素です。
N因子は、0~3の数字で表されます。
数字が大きいほど、リンパ節への転移が多いことを意味します。
リンパ節への転移がある場合、癌の広がりや再発のリスクが高まるため、治療の方針や予後の見込みに影響を与えます。
例えば、N0はリンパ節への転移がないことを示し、N3は多数のリンパ節への転移があることを示します。
M因子
M因子とは、他の臓器への転移(遠隔転移)の有無を示す要素です。
M因子は、0か1で表されます。
0は他の臓器への転移がないことを示し、1は他の臓器への転移があることを示します。
遠隔転移がある場合、癌は体の他の部位にも広がっていると考えられ、治療のアプローチや予後の見込みが変わります。
特にM1の診断は、積極的な治療や緩和ケアの選択が重要となります。
これらの要素を組み合わせて、ステージはI~IVのローマ数字で表されます。ステージが高いほど、癌が進行していることを意味します。
ステージは、治療法や予後に影響する重要な情報です。しかし、ステージだけで個々の患者さんの状態や治療効果を正確に反映するものではありません。そのため、ステージに加えて、症状や全身状態、合併症や副作用なども考慮して治療計画を立てる必要があります。不安や疑問がある場合は、医師に相談しましょう。

