「膠原病は血液検査」のどの項目の「数値」を見て診断されるかご存知ですか?【医師監修】

「膠原病は血液検査」のどの項目の「数値」を見て診断されるかご存知ですか?【医師監修】

膠原病が疑われるときには、症状や診察所見に加えて、血液検査の結果を確認しながら診断を進めます。血液検査は、炎症の程度や自己抗体の有無、補体の変化、血球数、肝機能や腎機能など、複数の項目を組み合わせて評価します。
ただし、血液検査の数値だけで膠原病かどうかが決まるわけではありません。抗核抗体やリウマトイド因子などは、膠原病以外の病気や健康な方でも陽性になることがあります。そのため、検査結果は症状や身体所見、尿検査、画像検査などと併せて総合的に判断することが大切です。
この記事は、膠原病の血液検査でよく確認される項目、自己抗体や補体の意味、検査数値を見るときの注意点を解説します。

副島 裕太郎

監修医師:
副島 裕太郎(横浜市立大学附属市民総合医療センター リウマチ膠原病センター)

2011年佐賀大学医学部医学科卒業。2021年横浜市立大学大学院医学研究科修了。リウマチ・膠原病および感染症の診療・研究に従事している。

【資格】
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医・評議員
日本リウマチ学会 登録ソノグラファー
日本リウマチ財団 登録医
日本アレルギー学会 アレルギー専門医(内科)
日本臨床免疫学会 免疫療法認定医
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医
日本エイズ学会 認定医
日本温泉気候物理医学会 温泉療法医・温泉療法専門医
日本骨粗鬆症学会 認定医
日本母性内科学会 母性内科診療プロバイダー
身体障害者福祉法第15条指定医(肢体不自由、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害)
インフェクションコントロールドクター
博士(医学)

診療科目
一般内科、リウマチ・膠原病内科、アレルギー科、感染症科

膠原病の血液検査で見る主な項目

膠原病の血液検査で見る主な項目

膠原病の診断ではどのような血液検査の項目を見るのか教えてください

膠原病の診断では、まず全身の炎症や臓器障害を確認するための基本的な血液検査を行います。代表的な項目には、CRPや赤沈、白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、血小板数、肝機能、腎機能、電解質などがあります。

免疫の異常を調べる検査としては、抗核抗体やリウマトイド因子、抗CCP抗体、抗DNA抗体、抗Sm抗体、抗SS-A抗体、抗SS-B抗体、抗RNP抗体、抗Scl-70抗体、抗セントロメア抗体、抗Jo-1抗体、ANCAなどがあります。これらは、疑われる病気や症状に応じて選択されます。

また、全身性エリテマトーデスなどでは補体の値も重要です。血液検査だけでなく、尿検査で蛋白尿や血尿を確認し、腎臓への影響を調べることもあります。膠原病は、血液検査の数値と実際の症状が必ずしも一致しないこともあるため、経過をみながら判断します。

CRPや赤沈などの炎症マーカーは何を表していますか?

CRPや赤沈は、身体の中で炎症が起きているかをみる検査です。CRPは炎症の変化をより早く反映し、感染症や膠原病の活動性が高いときに上昇することがあります。赤沈も炎症があると高くなることがありますが、貧血や免疫に関わる蛋白の増加など、炎症以外の影響も受けます。

ただし、CRPや赤沈が高いからといって、必ず膠原病とは限りません。感染症や悪性腫瘍、外傷、手術後などでも上昇します。反対に、膠原病の種類によっては、症状があってもCRPがあまり上がらないこともあります。

そのため、炎症マーカーは病気の有無を決める検査というより、炎症の程度や治療後の変化を確認するための手がかりとして使われます。

補体の数値からは何がわかるのですか?

補体は、免疫の働きに関わる血液中の蛋白です。膠原病のなかでも、特に全身性エリテマトーデスでは、補体の値が病気の活動性をみる手がかりになることがあります。

全身性エリテマトーデスは、自己抗体と抗原が結びついた免疫複合体が組織に沈着し、補体系の活性化などを通じて炎症が起こると考えられています。そのため、病気の活動性が高いときに、C3、C4、CH50などの補体が低下することがあります。

ただし、補体が低いだけで全身性エリテマトーデスと診断できるわけではありません。体質的に低い場合や、ほかの病気が関係する場合もあります。補体は、抗DNA抗体、尿検査、腎機能、症状の変化などとあわせて評価されます。

膠原病における自己抗体の種類と数値の見方

膠原病における自己抗体の種類と数値の見方

抗核抗体の数値はどのように読み取るのですか?

抗核抗体は、細胞の核の成分に反応する自己抗体です。膠原病の診断を進めるうえで基本的なスクリーニング検査として使われます。

一般的には、力価が高いほど膠原病の可能性を考えやすくなります。ただし、抗核抗体が陽性というだけで膠原病とは診断できません。健康な方でも抗核抗体が陽性になることがあります。

症状がない場合は、数値だけを過度に心配せず、関節痛や発熱、皮疹、口内炎、レイノー現象、蛋白尿などの症状やほかの検査結果と併せて判断します。

リウマトイド因子が陽性だと関節リウマチですか?

リウマトイド因子が陽性でも、それだけで関節リウマチと診断されるわけではありません。リウマトイド因子は関節リウマチの患者さんで陽性になることが多い検査ですが、ほかの膠原病、肝疾患、感染症、肺疾患などでも陽性になることがあります。健康な方でも陽性になることがあり、特に高齢の方は陽性率が上がります。

関節リウマチの診断は、関節の腫れや痛みの部位、症状の持続期間、CRPや赤沈、リウマトイド因子、抗CCP抗体、画像検査などを総合して判断します。

抗CCP抗体は、関節リウマチに関連する自己抗体として重要です。リウマトイド因子よりも関節リウマチとの関連が強く、診断や予後の評価に使われます。ただし、抗CCP抗体が陰性でも関節リウマチを完全に否定できるわけではありません。

参照:『検査』(慶應義塾大学医学部リウマチ・膠原病内科)

疾患特異的な自己抗体にはどのようなものがありますか?

膠原病は、病気ごとに関連しやすい自己抗体があります。例えば、全身性エリテマトーデスでは抗DNA抗体や抗Sm抗体、シェーグレン症候群では抗SS-A抗体や抗SS-B抗体、混合性結合組織病では抗RNP抗体、全身性強皮症では抗Scl-70抗体や抗セントロメア抗体、皮膚筋炎・多発性筋炎では抗Jo-1抗体などが知られています。

また、血管炎が疑われる場合には、MPO-ANCAやPR3-ANCAなどを調べることがあります。これらの自己抗体は、診断の手がかりになるだけでなく、病気のタイプや合併しやすい臓器障害を考えるために重要な情報です。

ただし、自己抗体の結果は絶対ではありません。陽性でも症状が乏しい場合や、反対に陰性でも臨床的に膠原病が疑われる場合があります。自己抗体は、診断名を機械的に決めるための検査ではなく、症状や診察所見と組み合わせて病気を見極めるための情報です。

配信元: Medical DOC

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