●「入り損」になるリスク
しかし、控訴したものの、退けられてしまった場合(=棄却)には、「控訴してから判決が出るまでの間の身柄拘束」は、原則として刑期にカウントされません。
したがって、控訴が棄却される見込みが高い場合は、控訴して判決がでるまでの身柄拘束期間が「入り損」になるリスクがあります。
もちろん、裁判所の判断(裁量)で一部を刑期に含めてもらえることもありますが、実務上、裁判の審理に通常かかる期間(おおむね60日程度)は必ず差し引かれる(刑期にカウントされない)のが一般的な扱いです。
言い換えれば、控訴して棄却されると、約2ヶ月分くらいは「刑務所に入るのがただ遅れただけ」の、いわば「入り損」になってしまうのです。
また、否認事件等で裁判に必要な日数が増えた場合、その分「カウントされない期間」がさらに増えてしまうリスクもあります。
たとえば、本件のように殺意を否認して争う場合、控訴審で証人尋問や鑑定がやり直されることもあります。その分、「裁判に通常必要な期間」として差し引かれる日数が、60日からさらに延びてしまう可能性もあります。
結論が変わらないのであれば、一刻も早く服役を始めたいという判断が働いた可能性はあるでしょう。
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

