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【マーク・ロスコ】カラフルな四角「だけ」の絵はこう見る!抽象芸術を楽しめるようになるコツを紹介

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マーク・ロスコ《No. 14, 1960》(1960年)。サンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)蔵。巨大なオレンジと深い青の色面が、ぼんやりとした境界で重なり合う。スマホの画面では「ただの四角」にしか見えないかもしれない。(動画引用:SFMOMA公式Instagram)

近づくと、絵が変わる

ロスコの絵を美術館で見るのと、スマホで見るのとでは、まったく別の体験になります。その理由は単純で、大きさです。実物は縦2メートルを超えます。美術館の部屋に入るとまずその大きさに足が止まり、全体を見渡そうと一歩下がっても、視野に収まりません。

ここで一つだけ試してほしいことがあります。下がるのではなく、逆に近づいてみてください。色が変わり始めます。遠くからは均一に見えていた色面が、何層もの薄い絵の具でできていることに気づくはずです。赤の下にオレンジが透け、その奥から暗い紫がにじむ。輪郭はどこにもありません。

写真 ②色面構造の図解 出典:オリジナル作成

ロスコ自身も「45センチの距離で見てほしい」と言ったそうです。腕を伸ばせば届くほどの近さです。そこまで寄ると、色が視界の端まで広がって、絵と自分の境目がぼやけてくる。「絵を眺めている」感覚が薄れて「色の中にいる」に変わる瞬間があります。

しばらくすると色が明るく浮かび上がったり、奥へ沈んだりして、画面が静かに呼吸しているように見えてきます。絵は止まっているはずなのに、目の中では何かが動き続けている。ロスコの絵を見るうえで、この「近づく」という行為が一番大事かもしれません。

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ワシントンのナショナル・ギャラリーは、ロスコ作品の世界最大級の公的コレクションを所蔵している。実際の展示室で色に囲まれる体験は、画面越しとはまるで違う。(動画引用:National Gallery of Art公式Instagram)

ロスコは「見る環境」にこだわった

ロスコは自分の絵がどんな環境で見られるかに、強くこだわった画家でした。1958年、ロスコはニューヨークの高級レストラン「フォーシーズンズ」から壁画の依頼を受けます。報酬は当時としては破格の金額でした。ロスコは引き受け、暗い赤と茶色を基調にした重厚な連作を、何か月もかけて描き進めます。

ところが完成が近づいたころ、突然、納品を拒否しました。受け取った報酬も返しています。その理由について、ロスコはこう語ったと伝えられています。あの店で食事をする客の食欲を台無しにしてやろうと思って引き受けたが、結局あんな場所に自分の絵を飾る気にはなれなかった、という趣旨の発言をしたと言われています。

過激な言い方ですが、ロスコが嫌だったのは、自分の絵が「食事中の背景」になることでした。おしゃべりの合間にちらっと目をやって「きれいな色ね」で終わる。そういう見方では、自分の絵は何も届けられない。

テキサス州ヒューストンに建つロスコ・チャペル。反射池の上に立つのはバーネット・ニューマンの彫刻《ブロークン・オベリスク》。窓のない八角形の建物の中に、ロスコの暗い色調の絵が14点並ぶ。, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons.

のちにロスコは、テキサス州ヒューストンに小さな礼拝堂を設計するプロジェクトに取り組みます。八角形の静かな空間に、暗い紫や黒に近い巨大な絵を14点。「ロスコ・チャペル」と呼ばれるこの場所は、絵と人だけが向き合う空間を、ロスコ自身が設計したものです。残念ながらロスコはチャペルの完成を見届けることなく、1970年に亡くなっています。

配信元: イロハニアート

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