【闘病】保育士が外出先で突然倒れ救急搬送。脳出血の原因は『もやもや病』だった

【闘病】保育士が外出先で突然倒れ救急搬送。脳出血の原因は『もやもや病』だった

外出先で突然倒れ、気付いたときには病院のベッドの上——。保育士のゆいさん(仮称)が診断されたのは、事前に症状を自覚しにくいとされる「もやもや病(脳の太い血管の終末部が細くなり、血流を補うために発達した細い血管が画像上でもやもやと見える指定難病)」でした。これまでの健康診断で異常を指摘されたことはなく、立ちくらみも「よくあること」と捉えていたといいます。発症から診断、治療までの経緯と、予期せぬ病気との向き合い方や現在の生活について、ゆいさんに聞きました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2025年12月取材。

ゆいさん

体験者プロフィール:
ゆいさん(仮称)

30代、関東在住。保育士。外出先で突然倒れて病院に運ばれ、もやもや病と診断される。脳出血に対するリハビリテーションと、両側の脳血管のバイパス手術を経て、現在はてんかん発作の薬を調整しながら、パート勤務で仕事を続けている。

気付いたら病院のベッドの上——告げられた病名は『もやもや病』

気付いたら病院のベッドの上——告げられた病名は『もやもや病』

編集部

倒れた当日のことを聞かせてください。

ゆいさん

その日は小さなライブを見る予定があり、外出していました。朝から右のこめかみが痛いと感じていましたが、外出できないほどではなかったので、楽しみにしていた予定に出掛けることにしました。
ライブ会場となっていたホテルのラウンジで食事をしたところまでは覚えています。ただ、その後の記憶はなく、気付いたら病院のベッドにいました。病院には北海道に住む両親も来ていて本当に驚きました。
後で聞いた話によると、倒れて嘔吐(おうと)した私を見て、周りの人が救急車を呼んでくれたそうです。「あのとき、家に一人でいたらどうなっていたのでしょうか?」と主治医に聞いたら、「冷たくなって発見されていたかもしれないね」と言われました。

編集部

病名は、どのように告げられたのですか?

ゆいさん

ほぼ記憶にありません……。おぼろげながら、検査画像を見せられて、「もやもや病だね」「出血も起こしている」と言われたような気はします。
唯一覚えているのは、検査(右手首からのアンギオ=血管造影検査)のときに「まだ頑張れる?」と聞かれ、はっきりと「やだ!」と返したことです。

編集部

もやもや病とは、どのような病気なのでしょうか?

ゆいさん

医師からの説明によると、もやもや病は脳の太い血管の終末部が細くなる病気です。血流不足を補うために拡張した脳内の血管(もやもや血管)が、画像上でもやもやと見えることから、こう呼ばれています。もやもや血管は、本来の太い血管に比べて脆(もろ)く破れやすいため脳出血を起こしやすく、私が倒れて嘔吐したのも脳出血が原因でした。

編集部

周りの人には、自分の病名をどのように説明していますか?

ゆいさん

私が人に説明するときは、もともとある脳の血管を道路に例えています。具体的には、「道路(もともとの血管)が細すぎて、車(血液)の通りがよくない→脇道(もやもや血管)を作っちゃおう→でも脇道は舗装されておらず道が悪い→事故(脳出血)が起こった!」と話しています。

リハビリ漬けの日々から2度のバイパス手術へ

リハビリ漬けの日々から2度のバイパス手術へ

編集部

倒れる前に自覚症状はありましたか?

ゆいさん

私の場合、立ちくらみが日常茶飯事でした。立ちくらみの原因はいろいろあるそうなので断定はできませんが、強いて言えば立ちくらみが最初の自覚症状だったのかもしれません。
ただ、もやもや病は自覚症状がないまま経過することも多いようです。症状が出る場合は、脳の虚血(きょけつ/血流が足りない状態)により、手足の麻痺やしびれ、視野障害などが一時的に起こるといわれています。

編集部

実際の治療は、どのように進められたのですか?

ゆいさん

脳出血に対しては、血圧などをコントロールしながらのリハビリテーションがメインでした。リハビリは、運び込まれてすぐ、意識がほとんどない時期から始まっていたようです。
意識が戻ってくると、小学生のころにやったIQテストのようなものから、発音の訓練、右脳の出血だったので左半側空間無視(左側にあるものに気付きにくくなる症状)がないかを調べる脳トレーニング(点つなぎ、クロスワードなど)、手足の麻痺に対する機能訓練(調理実習、運転技能テスト)まで、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士と一緒にみっちり取り組みました。

編集部

リハビリの後に手術を受けた流れでしょうか?

ゆいさん

そうですね。体調が落ち着いてきてから、まず右側の脳の血管に対する手術を受けました。耳の横を通る、どくどくと脈打つ血管(浅側頭動脈/せんそくとうどうみゃく)を脳の血管につなげる「直接バイパス術」です。直接バイパス術には、「脳出血の再発予防」と「もやもや病による脳血流不足の改善」という2つの目的があるそうです。
予定では9時から昼ごろまでの手術でしたが、血管が想定以上に脆かったため10時間近くかかり、終わったのが19時ごろでした。両側のもやもや病だったので、右側の手術から半年後くらいに、左側の手術も受けました。

編集部

現在の体調はいかがですか?

ゆいさん

2回目の手術を終えて退院した後にけいれん発作を起こし、「症候性てんかん(発作を引き起こす原因がはっきりしているてんかん)」と診断され、現在は薬を調整しているところです。体に残った変化でいうと、手術の傷がおでこに残るのかなと心配していましたが、おでこではなくこめかみの切開だったのであまり目立たず、髪の分け目のような形で残っています。
今も月に1回ほど発作を起こしており、保育士としてフルタイムで働くのが厳しくなったため、パート勤務にしてもらいました。主治医から「高血圧に注意して! また脳出血するよ!」と言われているので高血圧には気を付けています。ただ、普段から上が100mmHg未満という低血圧なので、どこまで気を配ればいいのかは分からないままです。

配信元: Medical DOC

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