「ネフローゼ症候群の治療」は何を改善することを目標に行われる?【医師監修】

「ネフローゼ症候群の治療」は何を改善することを目標に行われる?【医師監修】

ネフローゼ症候群は、尿に多くの蛋白が出ることで血液中の蛋白が減り、むくみ(浮腫)や体重増加などが現れる病気の総称です。原因となる病気や腎臓の病型によって、治療方針は大きく変わります。
治療では、尿蛋白を減らしてむくみを改善し、腎機能の低下や血栓症、感染症などの合併症を防ぐことが重要です。ステロイド療法が中心になることもありますが、病型や治療反応によっては免疫抑制薬や支持療法を組み合わせます。
この記事は、ネフローゼ症候群の治療の基本方針、ステロイド療法、ステロイドが効きにくい場合の治療、再発予防のための生活管理を解説します。

林 良典

監修医師:
林 良典(医師)

【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター

ネフローゼ症候群の治療の基本方針

ネフローゼ症候群の治療の基本方針

ネフローゼ症候群の治療では何を目標としますか?

ネフローゼ症候群の治療は、尿蛋白を減らし、血液中のアルブミンを回復させ、むくみを改善することを目標にします。尿蛋白が多い状態が続くと、腎臓への負担が大きくなり、腎機能が低下することがあります。

また、ネフローゼ症候群は、むくみだけでなく、脂質異常症や血栓症、感染症、急性腎障害などが問題になることがあります。そのため、尿蛋白を減らす治療と併せて、合併症を防ぐ治療も重要です。

治療の効果は、尿蛋白の量、血清アルブミン値、腎機能、体重、むくみの程度などをみながら判断します。症状が改善しても、尿検査で蛋白尿が残っている場合は病気の活動性が続いている可能性があります。再発や腎機能悪化につながることもあるため、症状だけで判断せず、定期的に尿検査や血液検査を受けることが大切です。

病型による治療方針の違いを教えてください

ネフローゼ症候群には、微小変化型ネフローゼ症候群や膜性腎症、巣状分節性糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎など、いくつかの病型があります。病型によって、ステロイドが効きやすいもの、免疫抑制薬を併用することがあるもの、原因となる病気の治療を優先するものがあります。

微小変化型ネフローゼ症候群は、ステロイドに反応しやすいことが多く、初期治療としてステロイド療法が行われることがあります。

一方で、巣状分節性糸球体硬化症や膜性腎症は、治療反応や再発のしやすさに個人差があり、免疫抑制薬や腎保護療法を組み合わせることがあります。

糖尿病や膠原病、感染症、薬剤、悪性腫瘍などが原因でネフローゼ症候群が起こる場合もあります。この場合は、尿蛋白への対応だけでなく、原因となっている病気の治療や薬剤の中止などが重要です。

入院は必要になりますか?

ネフローゼ症候群は、初期診断や治療開始のために入院が必要になることがあります。強いむくみや急な体重増加、胸水や腹水、腎機能低下、血栓症や感染症の疑いがある場合は、入院で詳しく検査しながら治療することがあります。

腎生検を行う場合も、入院が必要になることがあります。腎生検では、腎臓の組織を調べて病型を確認し、治療方針を決める手がかりにします。

一方で、症状が軽く、腎機能が安定しており、外来で治療可能と判断された場合は、通院で経過をみることもあります。入院が必要かどうかは、病型やむくみの程度、腎機能、合併症の有無、薬の開始時期などを踏まえて判断されます。

ネフローゼ症候群の主な治療法

ネフローゼ症候群の主な治療法

ステロイド療法はどのように行うのか教えてください

ステロイド療法は、免疫の異常や炎症が関係するネフローゼ症候群で行われる代表的な治療です。特に微小変化型ネフローゼ症候群などでは、ステロイドが有効なことがあります。

治療開始時は、病型や重症度に応じて十分な量のステロイドを使い、尿蛋白の減少や血清アルブミン値の改善を確認します。効果がみられた後は、再発に注意しながら少しずつ減量していきます。自己判断で急に中止すると、再発や体調不良につながることがあるため、医師の指示にしたがって調整することが大切です。

ステロイドには、感染症や糖尿病、骨粗しょう症、白内障、緑内障などの副作用があります。治療中は、血液検査や尿検査に加えて、血圧、血糖、骨の状態、眼の状態なども必要に応じて確認します。

ステロイドが効きにくい場合はどのような治療を行いますか?

ステロイドで十分に尿蛋白が減らない場合や、再発を繰り返す場合、ステロイドを減らすと悪化する場合には、免疫抑制薬を併用することがあります。使われる薬には、シクロスポリン、タクロリムス、ミゾリビン、シクロホスファミド、リツキシマブなどがあります。病型や年齢、再発の頻度、副作用のリスクによって選択されます。

難治性ネフローゼ症候群は、ステロイドと免疫抑制薬を含む治療を一定期間行っても十分な寛解に至らないことがあります。このような場合は、病型や治療反応を再評価し、治療薬の変更や追加を検討します。

また、二次性ネフローゼ症候群は、原因となる病気への治療が重要です。糖尿病性腎症は血糖や血圧の管理、膠原病に伴う腎障害は原疾患の治療、薬剤性の場合は原因薬剤の中止などが検討されます。

浮腫や脂質異常症など合併する症状にはどう対処しますか?

浮腫に対しては、塩分制限や利尿薬が検討されます。むくみが強い場合は、体重、尿量、血圧、腎機能、血液中の電解質を確認しながら治療します。自己判断で水分を極端に制限したり、利尿薬を調整したりすると、脱水や腎機能悪化につながることがあります。

脂質異常症を伴う場合は、食事療法や薬物療法が検討されます。ネフローゼ症候群は血液中のコレステロールや中性脂肪が高くなることがあり、必要に応じて脂質異常症の治療薬が使われることがあります。

血栓症や感染症にも注意が必要です。ネフローゼ症候群は血液が固まりやすくなることがあり、足の腫れや痛み、急な息切れ、胸痛などがある場合は早めの受診が必要です。

また、ステロイドや免疫抑制薬を使用している場合は感染症のリスクが高くなるため、発熱や強いだるさがある場合は早めに相談しましょう。

配信元: Medical DOC

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