私が20代のころ、仕事に追われ、家にいても心に余裕がない時期がありました。母はいつも私を気にかけてくれていたのに、当時の私はそのやさしさを素直に受け取ることができませんでした。ある日、疲れて帰宅した私を待っていた母の思いやりに、私は思わず冷たい言葉を返してしまったのです。
忙しさの中で、母の言葉を受け流していた私
20代のころの私は、仕事が忙しく、家にほとんど寄り付かない時期がありました。帰宅しても疲れ切っていて、家族とゆっくり話す余裕もありませんでした。
母はそんな私に、いつも「無理しないでね」と声をかけてくれていました。今思えば、私の体調や気持ちを心配してくれていたのだと思います。
しかし当時の私は、素直に「ありがとう」と返すことができませんでした。「大丈夫だから」とそっけなく答えたり、会話を早く終わらせようとしたりしていました。母のやさしさをありがたいと思うよりも、どこか照れくさく感じていたのかもしれません。
冷たい言葉を言ってしまい…
ある日、いつものように疲れ切って帰宅すると、母が私の好きなおかずを用意して待っていてくれました。忙しい私を少しでも元気づけようとしてくれたのだと思います。
ところが、そのときの私は心に余裕がありませんでした。食卓を見ても素直に喜ぶことができず、思わず「こんなの作らなくていいのに」と冷たく言ってしまったのです。
母は怒ることもなく、少し寂しそうに笑っていました。その表情を見ても、私はその場で謝ることができませんでした。本当はうれしかったはずなのに、感謝の言葉を口にするどころか、母を傷つけるような言い方をしてしまったのです。

