「糖尿病で入院」が必要になるのはどのような場合?入院期間や費用についても解説!

「糖尿病で入院」が必要になるのはどのような場合?入院期間や費用についても解説!

糖尿病は、血糖値が高い状態が続く病気です。治療は外来で続ける場合が中心ですが、血糖値の乱れが大きいとき、脱水や意識障害が疑われるとき、合併症の治療が必要なときは、入院が検討されます。また、緊急の状態でなくても、食事、運動、薬、血糖測定を学ぶために、教育入院がすすめられることがあります。
糖尿病の入院には、危険な状態を治療する目的だけでなく、退院後の生活を整える目的もあります。この記事では、入院が必要となる主なケース、入院期間や費用の目安、仕事との調整、入院前の準備を解説します。

高宮 新之介

監修医師:
高宮 新之介(信州大学医学部附属病院 呼吸器外科)

昭和大学(現・昭和医科大学)卒業。大学病院で初期研修を終えた後、外科専攻医として勤務。静岡赤十字病院で消化器・一般外科手術を経験し、日本外科学会専門医を取得。昭和大学大学院 生理学講座 生体機能調節学部門を専攻し、脳MRIとQOL研究に従事する中、医学博士を取得。昭和大学横浜市北部病院(現・昭和医科大学横浜市北部病院)呼吸器センターを経て、現在は信州大学医学部附属病院 呼吸器外科に勤務。肺がんを中心とした呼吸器外科診療、低侵襲手術、肺がん術後QOL、術前心理状態と術後疼痛に関する研究に取り組む。日本外科学会専門医、日本呼吸器外科学会専門医。医学博士。がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了。

糖尿病で入院が必要となる主なケース

糖尿病で入院が必要となる主なケース

糖尿病で入院が必要になるのはどのような場合ですか?

糖尿病で入院が必要になる主な場面は、外来治療だけでは血糖管理が難しい場合、急な悪化が疑われる場合、合併症の治療が必要な場合です。
入院が検討される代表的なケースには、血糖値が大きく上がり、口渇、多飲、多尿、体重減少、強い倦怠感がある場合があります。水分が取れない、食事が取れない、感染症を合併している、ステロイド薬などの影響で血糖値が上がっている場合もあります。
インスリン治療を新しく始める場合や、薬の種類を大きく変える場合にも入院が検討されます。インスリン注射は、薬の量、食事量、運動量、低血糖への対応を理解して使う必要があります。入院中に調整することで、退院後の治療を続けやすくなります。
糖尿病の合併症が悪化している場合も、入院が必要になることがあります。足の傷が治りにくい、感染を伴う、腎機能が悪化している、心臓や脳血管の病気を合併している場合です。

糖尿病の教育入院について教えてください

教育入院は、糖尿病の治療を続けるために必要な知識や技術を学ぶ入院です。血糖値を下げるだけでなく、自分の病状を理解し、食事療法、運動療法、薬物療法、血糖測定、低血糖のときの対応を身につけ、退院後の生活に活かすために行います。
教育入院は、医師だけでなく、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士などが関わることがあります。食事の量や栄養バランス、間食や飲酒の考え方、運動を行う際の注意点、薬の飲み忘れを減らす工夫、低血糖のときの補食の取り方などを学びます。

糖尿病ケトアシドーシスなど緊急の入院が必要となる状態にはどのようなものがありますか?

緊急の入院が必要となる代表的な状態に、糖尿病性ケトアシドーシスと高浸透圧高血糖状態があります。どちらも、血糖値の異常だけでなく、脱水、電解質の乱れ、意識障害などを伴うことがあり、早急な医療対応が必要です。
糖尿病性ケトアシドーシスは、インスリンが不足し、身体が脂肪を分解してケトン体が増え、血液が酸性に傾く状態です。急な口渇、多飲、多尿、倦怠感、体重減少、吐き気、腹痛、深く大きい呼吸、意識がもうろうとする症状がみられることがあります。
1型糖尿病で起こりやすい状態ですが、2型糖尿病でも起こることがあります。SGLT2阻害薬を使っている方は、血糖値が大きく上がらなくても起こる場合があります。
高浸透圧高血糖状態は、著しい高血糖と強い脱水を特徴とする状態です。高齢の方、感染症がある方、脳血管障害や心血管障害を合併している方、手術後の方、利尿薬やステロイド薬を使用している方は起こりやすいです。多飲、多尿、強い倦怠感、皮膚や口腔内の乾燥、意識障害などがみられることがあります。
参照:
『糖尿病診療ガイドライン2024 1章 糖尿病診断の指針』(日本糖尿病学会)
『糖尿病診療ガイドライン2024 7章 糖尿病の自己管理教育と治療支援』(日本糖尿病学会)
『糖尿病診療ガイドライン2024 20章 糖尿病における急性代謝失調・シックデイ』(日本糖尿病学会)

糖尿病での入院期間と費用の目安

糖尿病での入院期間と費用の目安

糖尿病の入院期間はどのくらいになりますか?

糖尿病の入院期間は、入院の目的と病状によって異なります。全国で一律に決まっているわけではありません。教育入院は、医療機関ごとのプログラムに沿って、数日から2週間前後で学習や治療調整を行うことがあります。
血糖管理を目的とした入院は、薬の調整に必要な期間、血糖値の安定具合、低血糖の有無、食事量や活動量に合わせた治療が組めるかによって退院時期が変わります。インスリンを始める場合は、注射手技、血糖測定、低血糖のときの対応を身につけることも退院の目安です。
糖尿病性ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖状態などの緊急入院は、脱水や電解質の乱れを補正し、血糖値や意識状態を確認しながら治療します。症状が落ち着いた後も、原因となった感染症や薬の影響、食事量、退院後の治療計画を確認します。
入院期間は数日で済む場合もあれば、合併症や全身状態によって長くなる場合もあります。
退院の目安としては、血糖値の大きな乱れが落ち着いていること、脱水や意識障害などの危険な症状が改善していること、薬の使い方が確認できていること、退院後の受診予定が決まっていることなどが挙げられます。糖尿病は退院して終わりではなく、外来で経過をみながら治療を続ける病気です。

入院費用の目安はどのくらいなのか教えてください

糖尿病の入院費用は、入院期間、治療内容、検査、薬、食事、病室、健康保険の自己負担割合によって変わります。そのため、糖尿病の入院費用を一律に示すことはできません。
教育入院と緊急入院では、検査や治療の内容が異なるため、費用にも差が出ます。
健康保険が使える診療は、年齢や所得などに応じて自己負担割合が決まります。ただし、差額ベッド代、病衣代、診断書料、保険外のサービスなどは、高額療養費制度の対象外になることがあります。個室を希望する場合は、事前に差額ベッド代の有無を確認してください。
費用を知りたいときは、医療機関の入退院窓口や医事課に相談するとよいでしょう。治療内容が変わると費用も変わるため、提示された金額は目安です。予定入院の場合は、入院日数の見込み、健康保険の自己負担割合、食事代、差額ベッド代、限度額適用の手続きを確認します。

高額療養費制度などで負担を軽減できるのですか?

高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1ヶ月の上限額を超えた場合に、超えた分が支給される制度です。上限額は、年齢や所得によって異なります。糖尿病で入院した場合も、保険診療分について制度を利用できる場合があります。
参照:
『高額療養費制度を利用される皆さまへ』(厚生労働省)
『我が国の医療保険について』(厚生労働省)

配信元: Medical DOC

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