胃がん・大腸がんは“あの検査”で防げる? 進化する「予防戦略」とすぐに実践できる『対策の第一歩』

胃がん・大腸がんは“あの検査”で防げる? 進化する「予防戦略」とすぐに実践できる『対策の第一歩』

がん検診で陥りやすい“3つの誤解”と“真実”―予防医療で治療費削減?

藤井政至氏:
2023年のがん統計によれば、現代では2人に1人が生涯でがんを患います。また2024年のデータでは、男性の4人に1人、女性の6人に1人ががんで死亡するとされています。

がん検診において、多くの人が陥りやすい誤解が3つあります。具体的には、「職場の健康診断はがん検診も兼ねている」「採血で全てわかる」「毎年のがん検診で膵臓がんも発見できる」です。しかし実際には、国が推奨するがん検診は胃・大腸・肺・乳・子宮頸がんの5種類のみで、膵臓がんは対象外です。

大腸がんは、前がん病変であるポリープ段階での治療費は少額で済みます。しかし、進行すると治療費は大幅に増加し、予後も厳しくなります。
大腸がんの多くはポリープから発生するため、ポリープ段階での切除が最も効果的な予防です。過去の調査によると、精度の高い検診を5年に1回行えば、検診費用を上回る医療費の削減が見込めるとの試算があります。さらに、検診などによって働き盛りの人ががんで死亡するのを回避できた場合、長期的な経済損失のカバー額は、数十年単位で膨大な規模になるとの試算もあります。

山陰地域では企業版ふるさと納税制度を活用し、市民が無料で大腸内視鏡と胸部CTを受けられる取り組みも始まっています。一方世界では内視鏡の医療インフラが極めて不足しており、胃がん・大腸がんの5年生存率は世界的にも低水準にとどまっています。
そこで私は21カ国語に対応した内視鏡医育成用シミュレーターを開発し、世界各国に展開するほか、国際内視鏡予防医療財団を設立し、複数の国に支部を置いて普及活動を進めています。

【パネルディスカッション】胃がん・大腸がんは「予防できる時代」も課題は残る―今何をすべきか?

白井保之氏:
胃炎の進行前の段階でピロリ菌除菌を行うことで、胃がんの発症リスクを大きく低減できると考えられています。一方で、成人後の除菌では予防効果が限定的になる可能性も指摘されています。そのため除菌後も定期的な胃内視鏡検査の継続が重要です。

垣内俊彦氏:
中学生のピロリ検診の全国法制化に向けて国会議員との連携を続けていますが、実現時期は未定です。現状では「自治体によって受けられない子どもがいる」という公平性が大きな課題となっています。胃がんの顕著な減少を確認できるまでには、数十年を要する見込みです。

鶴丸大介氏:
大腸CTの普及が進まない主な理由の一つは、内視鏡の精度が高く、消化器内科医の関心が向きにくいことにあると考えています。ただし最近は学会でも、内視鏡と大腸CTの併用を推進すべきという声が高まっています。

白井保之氏:
技術やインフラが整ってきた今、残る課題は何でしょうか。

藤井政至氏:
医療機関側での検診体制は整いつつありますが、実際に検診を受けるかどうかは、市民の行動に委ねられています。「必要だと分かっていても受けない人」が多い点は現状の課題です。予防医療としてのピロリ検診や大腸がん検診を広げるには、受診のメリットを実感できる仕組みや、行動を後押しするインセンティブが重要と考えています。

垣内俊彦氏:
中学生のうちに便を提出するピロリ検査を経験することで、将来の大腸がん検診への抵抗感を下げられる可能性があります。若いうちの体験に加えて、がん教育を組み合わせることで、子どもたちが検診の必要性を理解し、自ら受診する行動につながるのではないかと考えています。

白井保之氏:
胃がんや大腸がんは、早期に発見すれば治る可能性があるがんです。一方で、症状が出るまで検査を受けない人も少なくありません。「早く見つければ治る可能性が高い」という理解を広げることが、検診の受診率向上につながると考えています。

配信元: Medical DOC

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