トリプルネガティブ乳がん(※)は、比較的若い世代に多く、ほかのタイプの乳がんと比べて進行が早いとされています。右脇の上のあたりにしこりがあることに気付いた桐嶋さんは、検査の結果、2022年にトリプルネガティブ乳がんと診断されました。さまざまな治療を経て、現在は服薬もなく、以前のような生活に戻っています。桐嶋さんに、しこりの発覚から診断、治療、そして現在までの道のりを聞きました。
※女性ホルモンの受容体(エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体)とHER2(細胞の増殖に関わるタンパク質。がんのタイプ分類や治療方針を判断する目安の一つ)の3つを持たないタイプの乳がん
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2026年1月取材。
体験者プロフィール:
桐嶋カオリさん
1973年生まれ、愛知県在住。モデルやウォーキング講師、タレントのマネジメントなどの仕事に携わる。夫と子ども2人の4人暮らし。2022年にトリプルネガティブ乳がんと診断され、手術や抗がん剤治療を経て、現在は服薬もなく以前の生活に戻っている。
パチンコ玉ほどのしこりから、告知まで
編集部
最初に病院を受診したきっかけは、何だったのでしょうか?
桐嶋さん
右脇の上のあたりに、パチンコ玉くらいのしこりを見つけたことがきっかけです。実は2013年にも一度、乳がんの生検(組織の一部を採取して詳しく調べる検査)を受けたことがあり、異常はありませんでした。今回は少し痛みも感じるようになり、乳がんの治療中だった友人に相談して、教えてもらった病院へ行きました。その日に生検を受け、改めて結果を聞きに行くとやはり悪性と診断され、別の病院への紹介状を受け取りました。
編集部
紹介先の病院では、どのように診断が進んでいったのでしょうか?
桐嶋さん
紹介先の病院で血液検査や生検、CTを受け、トリプルネガティブタイプだと分かりました。「ひょっとして自分は乳がんかもしれない」と疑い始めてからは、インターネットでよく調べていたので、乳がんのタイプなどもしっかり頭に入っていたんです。それでも、がんがどの程度進行しているのか、検査結果が分かるまでは、悪いほう悪いほうに考えてしまい、一番つらい時期でした。
編集部
トリプルネガティブ乳がんと告げられたときの心境を教えてください。
桐嶋さん
「まさか私が!」と思いました。それと同時に「がん=死」というイメージが強く、「あとどれくらい生きられるのだろう」「これからどうしていけばいいのだろう」と考え、ショックでしばらく泣いて落ち込んでいたことを覚えています。10kgほど一気に痩せてしまい、とにかく無の状態でした。
治療の“目印”がないトリプルネガティブとは
編集部
トリプルネガティブとは、どのような乳がんなのでしょうか?
桐嶋さん
トリプルネガティブは、女性ホルモンの受容体やHER2といった、治療の手がかりとなる目印のいずれも持たないタイプとされています。乳がんは大きく4つのタイプに分けられ、その中でトリプルネガティブは乳がん全体の約15〜20%を占めるそうです。
インターネット上では予後がよくないという情報を目にして、トリプルネガティブという名前自体も、当時は嫌だなと感じていました。
編集部
医師からは、今後の治療についてどのような説明があったのでしょうか?
桐嶋さん
医師からは、トリプルネガティブの治療は抗がん剤が中心になること、検査の段階ではリンパ節への転移は見られないことを説明されました。その上で、手術を先に行うか、抗がん剤を先に行うかなど、私の意見もしっかり聞きながら、治療方針を一緒に決めていってくれました。「抗がん剤治療の後に手術をしたほうが、抗がん剤が効いているかどうかを確認できるのでよいと思います(※)」とも提案してくれて……。ただ、私としては一日でも早く体からがんを取ってほしい気持ちが大きく、抗がん剤に対するよくないイメージもあったため、手術を先に進めることになりました。乳房をすべて切除する全摘か、一部を残す部分切除かについては、迷わず全摘を希望しました。トリプルネガティブだからこそ再発したくない思いが強く、命と引き換えるくらいの気持ちで選択したことを覚えています。
※治療方針は患者さんの状態によって異なります

