自分らしさを取り戻すまで
編集部
これまで、どのような治療を受けてきたのでしょうか?
桐嶋さん
右乳房の全摘手術と、リンパ節郭清(がんが転移している可能性のあるリンパ節をまとめて切除する手術)を受けました。その後の抗がん剤治療では、まずEC療法(2種類の抗がん剤を組み合わせた治療)を、3週間に1回を1クールとして4クール、続いて別の抗がん剤であるドセタキセルを、同じく3週間に1回で4クール受けました。あわせて白血球(好中球)の減少を防ぐ薬を8回打ちました。
編集部
治療を続ける中で、特に何が大変でしたか?
桐嶋さん
抗がん剤治療が一番大変でした。抗がん剤を打った月曜日から水曜日までは、吐き気やだるさが続き、食欲もほとんどありませんでした。さらに口内炎ができたり、味覚がなくなったり、爪が剥がれて色が変わったりといった症状もありました。何より、髪の毛が抜けていくのが本当につらかったですね。
編集部
仕事先のクライアントなどには、自分の病気について伝えましたか?
桐嶋さん
はい。でも、人前に出る仕事をしていることもあり、最初は乳がんであることを誰かに言うつもりはありませんでした。ただ、急に痩せてウィッグをつけた姿を見せたら、クライアントやレッスン生を驚かせてしまうし、気を遣わせてしまうかもしれない。そう思い、自分から堂々と伝えるようにしたんです。
モデルとしても、右胸がなくなり衣装のバランスが崩れて、一時は魅せることへの自信をなくしました。それでも治療を進めていくうちに「これからは自分らしく、無理なく生きていこう!」と考えが変わり、「片胸モデルもいいじゃない! これが私!」と思えるようになりました。
気持ちに余裕を持てるように
編集部
闘病中、心の支えになっていたものは何ですか?
桐嶋さん
まずは仕事です。好きな仕事を続けられている自分は、幸せだなと思います。次に家族や友人の存在です。その支えがあって今の私がいるので、感謝しかありません。
編集部
現在の生活について教えてください。
桐嶋さん
仕事や趣味に励みながら、無理をせず、穏やかな時間を大切にしています。治療を通じて、健康や家族のありがたさ、そして自分自身の気持ちと向き合うことの大切さを日々感じながら生きています。
病気を経験して考え方も変わりました。以前は完璧主義でしたが、今は肩の力を抜いて、自分らしく、気持ちに余裕を持って過ごせるようになりました。好きな仕事ができる時間はとても楽しく、体を動かすことも心掛けていて、週に4〜5回のペースで暗闇ボクシングに通っています。
編集部
医療従事者への思いがあれば教えてください。
桐嶋さん
医療従事者には、心からの謝意を伝えたいと思います。主治医は、私が疑問に思ったことに対して、いつも丁寧に答えてくれました。その信頼があったからこそ、治療を頑張れたのだと思います。形成外科の医師も、術後の傷跡について親身に診て、アドバイスをしてくれました。看護師も、こちらの気持ちを察してくれて、本当にありがたかったですね。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
桐嶋さん
私はがん家系でもなかったので、罹患した後も「まさか自分が!」と、ひとごとのように感じていました。今は、無理をしがちで自分のことを後回しにしている人が多いと思います。読者の皆さん、ぜひ健康診断を定期的に受けて、自分の体と向き合う時間を作ってください。

