俳優であり、小学生の娘さんがいるママでもある我妻三輪子さん。不思議の国のアリスで有名な「Happy Unbirthday」(なんでもない日おめでとう!)という言葉が大好きな我妻さんが、何気ない日でも愛おしく感じる出来事や気づきを写真とともに綴っていきます。
月曜日の朝。いつものように娘を小学校まで送る。ずっと握っていた小さな手を離しながら「今日も楽しんで!love you!」と声をかけ、校舎に入るまで見届ける。
でもお友達と合流したり、先生に話しかけたりしてなかなか中に入ってくれない。早く入っておくれ、こっそり心の中で毒づく。今日はこれからが週に一度のお楽しみの日なのだ。
やっと下駄箱に向かってくれたので、足早に来た道を戻りながら、首にかけていたヘッドフォンを装着して、携帯でradikoのアプリを起動する。この動作、私史上一番早いスピードを叩き出していると思う。
ヘッドフォンから流れてきたのは「土曜の夜、かすみん」とささやく渋い声。
「ひとつよしなに」
うっすら流れるビタースウィート・サンバを聞きながら、やっぱり足早にいつものドトールへ向かう。

注文を済ませ、席につき、オープニングトークを聞き終えたタイミングで一時停止して、ヘッドフォンをテーブルに置き、鞄から持参した本を取り出す。若林正恭さんの初小説「青天」だ。

コーヒーを飲みながら、打ち合わせの時間までじっくり体に染み込ませるように読む。主人公アリの一挙手一投足に、一喜一憂しながら、一語一句夢中になって読む。そして若林さんが、私たちにプレゼントしてくれた言葉たちを、噛み締める。
打ち合わせに向かう道中は、またラジオを再開する。電車の中で、笑いを押し殺しながら充実した移動時間を過ごす。打ち合わせのあとに訪ねた飲食店のキャラクターが、人差し指を天に向かって立てているポーズをしていた。私は迷わず「トゥース!」と叫ぶ。
事務所の先輩が呆れながら、ボソッとつぶやいた。「我妻ちゃん、それはもう推しだよ」
そう、私の推しはオードリーだ。

随分前から彼らが作り出すものが好きで、生活の中には彼らがいる。ずっとずっと楽しみにしていた東京ドームライブに仕事で行けなくなってしまった時は、娘にバレないようにトイレで声を押し殺してボロボロ泣いた。
ちなみに娘は「トゥース!」「鬼瓦!」「アパー!」は完璧に再現できる。というか出来るように仕込んだ(ごめん)。
同じ時代を生きられて、幸せだと思う。

