この4月に幻冬舎編集者となり、上司のお手伝いという形で『もう一度だけ会えたなら、ぼくとわたしは──』(通称・ぼくわた)に関わらせていただいた私、新米編集者のKが、著者の越尾圭さんにお話を伺いました。今回はその一回目の前編。前作『ぼくが生きるということは、きみが死ぬということ』(通称・ぼくきみ)のルーツや、『もう一度だけ会えたなら、ぼくとわたしは──』のプロットからの変更点など、創作の裏話をお聞きします。

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ミステリー作家の異ジャンルへの挑戦と要素の掛け算
新米K まずは、『ぼくわた』が生まれたきっかけでもある、前作『ぼくきみ』のルーツからお聞かせください。
越尾 2019年にミステリーでデビューして以来、ミステリーばかりを書いていたのですが、2023年に新作に取り掛かるにあたって、作家としての幅を広げるためにも、違うジャンルに挑戦したいと思ったんです。そこで、これまでとは異なるアプローチとして、「命の尊さ」や「生きる意味」を問いかけるような、感動系のストーリーを書いてみたいと考え始めました。
新米K そこからどのようにプロットを詰めていったのでしょう。
越尾 感動小説と言っても、余命もの、入れ替わり系、記憶喪失、タイムリープなど、いろいろなジャンルがありますよね。ただ、一つずつ確認していくとどれも既視感があって、今から自分がそのまま手を出しても「今更感」が出てしまうなと悩みました。そこで、これらのジャンルを何かと何かで「組み合わせたら」どうなるだろうと思いついたんです。最初に「余命もの」と「入れ替わり」を組み合わせたときに、「あ、これならいける」と手応えを感じました。
新米K「余命一年」と宣告された美羽、そして生きたいと願った美羽と「入れ替わる」死にたいと願った航平。まさに『ぼくきみ』誕生の瞬間ですね。
越尾 そうです、ビビッときました。先行作がないか自分なりに調べた限りでは、当時似通った作品は見当たらなかったので、そのまま一気に企画書を作りました。
新米K 既存のジャンルを掛け合わせて新しい物語を生み出すというのは、創作において本当に大切なアプローチなんですね。
桜の「別れ」から七夕の「再会」へ。続編のモチーフに込められた意味
新米K 前作の反響を受けて、弊社から続編のご依頼をさせていただきました。その際、前作の「春(桜の季節)」から季節を一つずらして、夏の「七夕」をモチーフにしてはどうかとご提案させていただいたんですよね。
越尾 はい。七夕は、天の川で分かたれた織姫と彦星が一年に一度「再会」を果たすストーリーです。『ぼくきみ』では「別れ」を描いたので、続編を書くなら次は「再会」の物語にしたいと私自身も思っていました。ですから、七夕というモチーフはまさにぴったりだと、プロットを進めながら思っていました。


