「欠かせない戦力」としての現実が扉をこじ開けた
SNS上で倫理的な批判が渦巻く一方で、彼が現在の日本代表にとって「欠かせない戦力」にまで成長したというシビアな現実がある。
冷徹な見方をすれば、もし佐野が他の選手で容易に代替可能なレベルであったならば、世間からの激しい反発が予想される中、協会や監督が自らリスクを冒してまで選出することはなかっただろう。「留置所からW杯のピッチへ」という異例の軌跡は、彼自身の実力が事実上、批判の声を押し切って代表復帰への扉をこじ開けた結果に他ならない。
そして今回、ブラジル戦という極限の大舞台で、自らの存在価値をこれ以上ない形で証明した。
「追放しなくてよかった」という声と、「それでも過去は消えない」という声。佐野海舟の右足から生まれたゴールは、スポーツが持つ熱狂の力と、それに覆い隠されることのない社会の倫理観という、強烈なコントラストを我々に突きつけている。

