「落ち込んでいい」──発信を続ける理由と、同じ病気の方へ
編集部
SNSで闘病を発信し始めたきっかけは何ですか?
真野さん
最初は自分の記録として始めたのですが、発信するかどうかは迷っていました。そんなとき、同じ中咽頭がんになったYouTuberの方の動画を見てすごく励まされたんです。中咽頭がんの情報は検索してもあまり出てこなかったので、誰かの役に立てるかもしれないと思って発信を始めました。気をつけているのは、誇張せずリアルな状況をそのまま伝えることです。つらい時はつらいと、そのまま出しています。
編集部
治療費など、経済的な面で診断前後に気づいたことはありますか?
真野さん
がんになったら何百万円もかかるイメージがあったので、正直かなり恐怖でした。でも高額療養費制度を使うことで、医療費の自己負担は思ったよりずっと少なくて済みました。大変だったのはむしろ収入がなくなることで、当時は貯金もほとんどない状態で入院が始まってしまって、妻に頼らざるを得ない状況になってしまいました。病気になる前に、いざという時の蓄えをどれくらい持っておけるか、ということが本当に大事だと身に染みて感じています。
編集部
HPVワクチンについてはどのようにお考えですか?
真野さん
日本では今のところ、男性はHPVワクチンの定期接種の対象外ですが、海外では男性への接種が広がっています。日本でも早く対象が広がってほしいと思います。受けられる機会があるなら、絶対に接種しておいた方がいいと思います。自分がもう少し若い頃にHPVワクチンに関する情報を知っていれば、任意接種であったとしても確実に打っていました。ただ、実際に罹ってみたから思えるのかもしれません。普通に生活していたら「自分はならないだろう」と思ってしまうかもしれない、という気持ちもあります。だからこそ、防ぐことのできる病気があるという情報がもっと広まってほしいと思っています。
編集部
同じ病気で闘っている方、またはそのご家族へメッセージをお願いします。
真野さん
「ポジティブでいれば病気に勝てる」みたいな発信をよく目にしますが、私は落ち込めるなら落ち込んだ方がいいと思っています。しんどい時は絶対にしんどいはずで、無理して明るくある必要はない。できる時に、できる分だけやれればそれでいい。ご家族も同じで、無理しなくていいと伝えたいです。
編集後記
結婚から4カ月後に中咽頭がんステージⅣと診断され、肺転移、さらに脳転移による2度の開頭手術を経験した真野さん。長期にわたる治療では、身体的な苦痛だけでなく、家族との関係や経済的な不安とも向き合い続けてきました。また、HPVワクチンによる予防の重要性など、闘病したからこそ見えてきた現実も語られています。「無理に前向きでいなくていい」「落ち込めるなら落ち込んでいい」という真野さんの言葉は、闘病中の人だけでなく、支える家族の心にも寄り添うメッセージではないでしょうか。本稿が、中咽頭がんやHPVワクチンについて考えるきっかけとなりましたら幸いです。
なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。

