「急な減量はリバウンドの元」――そう信じて、焦らず取り組んできた人も多いのではないでしょうか。ところが、この“常識”に疑問を投げかける結果が報告されました。ノルウェーの研究グループが欧州肥満学会(ECO 2026)で発表した研究では、医療的に管理された環境のもとで集中的に体重を減らした「急速減量」グループは、ゆっくり減量した「緩徐減量」グループよりも1年後の体重減少率が高く、「健康的な体型」の目標達成割合も上回ったことが報告されました。この内容について五藤先生に伺いました。

監修医師:
五藤 良将(医師)
防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。
研究グループが発表した内容とは?
編集部
ノルウェーの研究員らが発表した内容を教えてください。
五藤先生
ノルウェーのヴェストフォル病院トラストの研究員らは、短期間で集中的に体重を減らす「急速減量(RWL)」と、ゆるやかに減量する「緩徐減量(GWL)」の効果を比較した研究結果をECO 2026で発表しました。研究では、BMI(体格指数)≧30の成人284人を対象に、16週間の食事による減量プログラムを両グループで実施しました(対象の約9割は女性でした)。その後、両グループは体重の戻り(リバウンド)を防ぐためのプログラムを36週間受けました※。
1年後の平均体重減少率は緩徐減量の10.5%に比べて急速減量グループでは14.4%減少と、大きな減量効果が維持されていました。また、「健康的な体型の目安」となるBMIやウエスト・身長比(腹囲を身長で割った値)の目標を達成した人の割合も、急速減量グループで高い結果となりました。
これまで「ゆっくり減量することが望ましい」と考えられてきましたが、今回の研究は、医療的に管理された環境であれば、急速な減量も長期的な体重管理につながる可能性を示しています。ただし、学会発表段階の研究であり、今後さらに確認が必要です。
※今回の研究は国際的な基準(BMI30以上)を用いており、日本の基準(25以上)とは線引きが異なります。
肥満とは?
編集部
今回のテーマに関連する肥満について教えてください。
五藤先生
肥満とは、身長に対して体重が多い状態を指す言葉で、必ずしも病気そのものを意味するものではありません。一般的に日本の基準ではBMI≧25の場合に肥満、25未満は普通体重、18.5未満はやせ過ぎに分類されます。また、BMIが35以上になると「高度肥満」に分類されます。肥満であっても健康障害がない場合もありますが、放置すると生活習慣病につながる可能性があります。特に内臓脂肪の蓄積がある場合は注意が必要です。
内臓脂肪は皮下脂肪に比べて生活習慣病との関わりが深いとされ、糖尿病や脂質異常症、高血圧などのリスクを高める要因と考えられています。そのため、BMIだけでなく腹囲やウエスト・身長比もあわせて確認すると、ご自身の体型の状態を把握しやすくなります。日頃から自分の体重や食生活を意識し、無理のない範囲でバランスのよい生活習慣を心がけましょう。

