年々過酷さを増す「夏の暑さ」。さまざまな工夫をしていても「夏を過ごすのがきつい」と感じている人は多いのではないでしょうか。
東京科学大学の研究員らが高齢者を対象に行った調査の結果、毎年繰り返される「極端な高温へのばく露」が、認知症の発症リスクや死亡リスクを高める可能性があることが明らかになりました。この内容について五藤先生に伺いました。

監修医師:
五藤 良将(医師)
防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。
研究グループが発表した内容とは?
編集部
東京科学大学の研究員らが発表した内容を教えてください。
五藤先生
東京科学大学の研究員らは、日本の65歳以上の高齢者約5万7000人を対象に、長期間の極端な高温への繰り返しのばく露と、認知症の発症リスクの関連性を調査しました。その結果、1〜3年間で猛暑にさらされた期間が多いほど、認知症の発症および死亡リスクが上昇することが分かりました。また、暑さの影響はばく露から1〜3年以内という比較的短い期間で表れることも示されています。
これらの結果は、暑さが脳に直接的な悪影響を与える可能性があり、高齢者が熱中症を防ぐための対策を、認知症予防の取り組みとして積極的に位置づける必要があることを示唆しています。
熱中症の症状と重症化リスク
編集部
今回のテーマに関連する熱中症のリスクについて教えてください。
五藤先生
熱中症は今回報告された認知機能の低下だけでなく、体全体に深刻な影響を及ぼす危険があります。熱中症は、重症度に応じてⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度に分類されます。
もっとも軽症のⅠ度では、四肢や腹筋のけいれん、失神、ミネラル不足によって、脈が速く弱くなったり、めまいや唇のしびれが起こることがあります。
Ⅱ度では、めまい、強い疲労感、頭痛、吐き気や嘔吐に加え、血圧低下や蒼白、ショック症状が見られ、脱水と循環不良が進みます。
Ⅲ度では意識障害や過呼吸が起こり、体温調節機能が破綻して多臓器不全に至る可能性もあります。
症状は段階的に悪化するため初期の異変を見逃さず、適切な水分と塩分補給、環境調整を心がけましょう。

