糖尿病になると歯周病にかかりやすい!メディカルドック監修医が、双方向の悪循環の仕組みと合併症予防・改善のためのケアを詳しく解説します。

監修歯科医師:
豊栖 久美子(歯科医師)
国立大学歯学部卒。一般開業医にて勤務後、医療法人の歯科部門として開業する。一般診療に加え訪問診療に携わる。出産後は歯科医師国家試験の予備校に勤務。生徒の指導に加え、記事の執筆・監修、国試の解説動画の作成を行う。現在は歯科医院のHPの記事・コラム作成などWebライターとして活躍中。
糖尿病とは?
糖尿病とは、血液中の血糖が増え、血糖値が上昇する病気です。食事から摂取したブドウ糖は血糖となり血液中を流れ、細胞に運ばれエネルギーの源となります。インスリンというホルモンのおかげで血糖が細胞に取り込まれますが、糖尿病になるとインスリンが十分に機能せず、血糖が細胞に取り込まれなくなります。そのため、血液中に血糖があふれ、血糖値が上昇することになります。これが、糖尿病のメカニズムです。糖尿病になり血糖値が上昇すると、疲れやすくなったり、傷の治りが悪くなるなどの症状が現れます。また重症化すると、血管障害による心筋梗塞や、網膜症や腎症、神経障害などの3大合併症のリスクが高くなるので、早めの治療が必要です。
血糖値が影響する糖尿病の原因と主な症状
糖尿病には1型と2型があり、それぞれ原因が異なります。1型糖尿病は自己免疫疾患です。自己免疫の異常により、膵臓のインスリンを分泌するβ細胞が破壊され、インスリンの分泌が低下することによって発症します。そのため、インスリンを定期的に注射する必要があります。2型糖尿病は遺伝や、肥満・運動不足などの生活習慣に問題がある場合に発症します。インスリンの分泌低下やインスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性)ことが原因です。血糖値が高くなると、喉が渇きやすくなる、疲れやすい、尿の回数が増える、体重が減る、傷の治りが遅いなどの症状が見られますが、初期は気付きにくい場合も多いです。治療せずに放置すると、重症化して意識障害や動脈硬化などの血管障害、3大合併症と言われる神経障害・網膜症・腎症のリスクが上がるので注意が必要です。
糖尿病で起きる主な合併症(神経障害・網膜症・腎症など)
糖尿病には3大合併症があります。神経障害・網膜症・腎症が糖尿病の3大合併症と言われ、高血糖による血管障害によって引き起こされます。治療せずに病気が進行すると、手足のしびれや感覚の鈍麻、失明、腎不全になることもあるので早期の治療が必要です。
糖尿病と歯周病の関係とは?
糖尿病と歯周病は、一見、関係ないように見えますが、実は相互に関係し合っています。糖尿病は歯周病を悪化させ、歯周病は糖尿病のリスクになります。
糖尿病になると歯周病にかかりやすくなるのはなぜ?
糖尿病の患者さんは歯周病罹患率が高く、歯周病が進行しやすいことが分かっています。理由としては、以下のようなことが考えられます。
高血糖により脱水気味になり、口腔乾燥が起こりやすくなるため
口腔内の血管障害により血流が悪くなるため
高血糖により炎症性サイトカインが放出されるため
糖尿病になると傷の治りが遅いため
口腔内が乾燥することで歯周病菌がより繁殖しやすくなります。また、高血糖により、血流障害が起こったり、炎症性サイトカインが放出されるため、歯周病は悪化がみられます。
歯周病が悪化すると糖尿病への影響が出ることはある?
炎症が起こると、炎症性サイトカインであるTNF-αが放出されます。このTNF-αがインスリンの働きを妨げるのでインスリンが十分に機能できなくなり、血糖値が上昇することが知られています。これをインスリン抵抗性と言います。歯周病は慢性的に炎症が起こっている状態なので、血糖値が上昇し糖尿病が悪化する原因だと言えるでしょう。また、歯周病の治療をすると、糖尿病の症状の改善が見られることも分かっています。このように、歯周病は糖尿病のリスクとなりえるので、歯周病の予防・早期治療を心掛けましょう。
歯周病は糖尿病の第6の合併症?
糖尿病の厄介なところは、血糖値が上がるだけでなく、全身に様々な合併症が起こるところです。3大合併症が神経障害・網膜症・腎症で、脳卒中と心筋梗塞の2大血管障害で5大合併症と呼ばれています。そして、それに続く第6の合併症が歯周病と言われる程、糖尿病患者さんに歯周病はよくみられます。

