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【箱根】かがやきの美に魅せられて。岡田美術館「金銀雲母きら」展が開幕

特別展「金銀雲母きら ―かがやきの日本美術―」

平安時代の金・銀・雲母とそのリバイバル

金銀と雲母の表現が美麗を極めたのは、平安時代のことでした。仏教を篤く信仰した天皇や公家、武士たちが功徳を願い、写経の事業を盛んに行うなかで、金銀は経文や絵に多く使われました。また、流麗な仮名で和歌を記す冊子や巻子のために、金・銀・雲母を駆使した美しい料紙が作られています。

本展では、平安後期の経典や書の名品を核に、古典に倣いつつ新たな美を創造した桃山〜江戸時代初期の和歌色紙や謡本、さらに現代の名筆による和歌巻までを展示。時代を超えて受け継がれてきた「かがやきの美意識」をたどります。

「仁王経 巻上」(中尊寺経・部分) 平安時代後期 岡田美術館蔵

金・銀・瑠璃(青玉)などでできていると経典に記される極楽浄土のイメージ。紺色の紙に金銀の文字が浮かび上がる荘厳な姿は、平安の信仰と美意識が結晶したものです。

「石山切」(伊勢集断簡・部分)平安時代 天永3年(1112)頃 重要美術品 岡田美術館蔵

和歌集の2ページを改装した掛軸。右は色紙を継ぎ合わせ雲母砂子を撒いた料紙に、繊細な銀泥絵をあしらった逸品。左は雲母摺の料紙。平安時代の書と料紙の白眉と称される名品です。

「謡本」(表紙)桃山〜江戸時代初期 岡田美術館蔵

料紙装飾における雲母摺は、桃山時代に新たな段階を迎えました。この本は表紙だけでなく本文の紙にも雲母を施し、平安の繊細さと桃山のおおらかさが同居する一冊となっています。

俵屋宗達下絵・本阿弥光悦書「柳に波下絵和歌色紙 はるごとに」(部分) 桃山〜江戸時代初期 岡田美術館蔵

宗達は平安時代の金銀泥絵を、光悦は日本と中国の古い書を学び、新しい時代の感覚でアレンジ。琳派の美意識が凝縮された色紙です。

髙木聖鶴「古今和歌集抄」(部分) 平成24年(2012) 岡田美術館蔵

古典の書を学び続けた研鑽の成果。平安時代の国宝の名品に倣って作られた料紙は、金・銀と雲母を豊かに用いたもの。現代の名筆による卒寿記念の大作です。

絵とやきものに見る金銀の多様な表現

日本では古来、金・銀が併用されることが多く、意匠や技法を凝らした美術品が生み出されてきました。金には日光、銀には月光や水など、具体的な自然のイメージが重ねられることも。絵画では比較的自由に使える一方、やきものでは焼成を1回増やす必要があり、特に変色しやすい銀彩は稀少なものです。

池大雅「沈香看花・楓林停車図屏風」のうち「沈香看花図」(部分)江戸時代中期 岡田美術館蔵

漢詩を主題にした屏風の一場面。楊貴妃が楼閣から苑池を眺めるさまが描かれ、金色の線が重なる画面に唐時代の雅な雰囲気が漂います。

「緑地金襴手牡丹唐草文碗」景徳鎮窯 中国・明時代 岡田美術館蔵

日本で「金襴手」と称される、金を焼き付けた磁器。萌黄地に金彩を施した器は珍しく、萌黄色と金色が織りなす優美な色合いが見どころです。

「染付金銀彩網干文輪花皿」有田 江戸時代 岡田美術館蔵

舟と芦の葉に金銀の線を重ね、手前の銀色の曲線は波、金銀の点は水しぶきを表現。肥前磁器の金銀彩は1650〜60年代頃に限定される、貴重な作例です。

塩川文麟「流崖群蛍図」(部分)江戸時代末期〜明治時代初期 岡田美術館蔵

水の上を舞い、あるいは岩や木に止まる蛍。金泥で表現された蛍の光が、闇のなかにきらめきます。箱の記載によれば宇治川の蛍とのこと。

円山応挙「三美人図」のうち「太夫図」(部分)江戸時代 天明3年(1783) 重要美術品 岡田美術館蔵

京都・島原の太夫が高下駄でゆっくりと歩むさま。紅白に金銀を組み合わせた豪華な装いが目を引きます。金地の帯に銀の菱模様の打掛という、華麗な出で立ちです。

配信元: イロハニアート

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