ストレス社会と言われる現代。日々の悩み事が尽きず、「最近笑っていない」と感じる人も多いのではないでしょうか。台湾・亜洲大学の研究員らは、33件の研究をシステマティックレビューという手法で分析した結果、「笑い療法」が年齢や健康状態にかかわらずうつ病や不安、ストレスをいずれも有意に改善することを明らかにしました。さらに、笑い続けた時間が長いほどその効果も高まることが示されています。この内容について稲川先生に伺いました。

監修医師:
稲川 優多(医師)
自治医科大学勤務。医学博士、公認心理師。日本精神神経学会精神科専門医・指導医・認知症診療医、日本老年精神医学会専門医・指導医、日本医師会認定産業医、精神保健指定医。
研究グループが発表した内容とは?
編集部
亜洲大学の研究員らが発表した内容を教えてください。
稲川先生
亜洲大学の研究員らは、「笑い療法」(詳細は後述)がうつ病や不安、ストレスなどの心理的苦痛を軽減する効果について研究を行いました。2023年11月までに発表された33件のランダム化比較試験(研究対象をランダムに複数のグループに分けて比較する研究手法)を分析した結果、笑い療法により、うつ病、不安、ストレスがいずれも有意に軽減することが確認されました。
また、うつ病では約400分、不安では約600分までであれば笑い療法の累積実施時間が長くなるほど効果は高まり、その後は効果が大きく変わらないことも明らかになりました。
さらに笑い療法は、年齢や健康状態、医療・介護などの環境にかかわらず一定の効果が認められました。研究者らは、笑い療法は心理的苦痛に対する実用的で効果的な補完療法となる可能性があり、今後はさらに研究を重ねることで、医療現場での活用が一層進むことが期待されるとも指摘しています。
笑い療法とは?
編集部
そもそも笑い療法とはなんなのでしょうか。
稲川先生
笑い療法とは、笑い体操やコメディー鑑賞、ゲームなどのユーモアなアクティビティを活用して、痛みやストレスの軽減、気分改善、生活の質の向上を目指す補完療法です。笑うことで深呼吸が促され、血圧の低下やストレスホルモンの分泌抑制につながるほか、免疫機能に関わるNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の働きが活発になることも報告されています。ストレスやうつ病のほか、がん患者さんなどの心身を支える目的でも活用されています。日常生活の中でも笑う機会を増やし、心と体の健康づくりに役立てていきましょう。

