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「8200万円返還して」田久保前市長めぐり住民監査請求、なぜ棄却? 今後の流れを弁護士が解説

「8200万円返還して」田久保前市長めぐり住民監査請求、なぜ棄却? 今後の流れを弁護士が解説

●住民側にまだ打つ手はある?

監査請求が棄却されても、次の段階として「住民訴訟」を起こすことができます。

住民訴訟は、住民監査請求を経たうえで、市の財務会計上の行為が違法かどうかを裁判所に判断してもらう仕組みです(地方自治法242条の2)。今回は監査請求を経ているので、この前提はクリアしています。

今回想定されるのは、「4号請求」というものです。これは、「市長が田久保前市長に対して損害賠償を請求するよう、裁判所に求める」という形の訴えです。

住民訴訟は、監査結果の通知があった日から30日以内に起こさなければなりません(地方自治法242条の2第2項1号)。この期間は「不変期間」とされ、原則として延長できません(同条3項)。

市民有志のグループは、この住民訴訟の提起を検討する方針を示していると報じられています。

●住民訴訟までいけば、8200万円を払わせられる?

勝訴のハードルは極めて高いと考えられます。

4号請求で田久保前市長個人にお金を払わせるには、単に「選挙費用が発生した」だけでは足りません。田久保前市長の行為(議会解散の選択など)が、市に対する不法行為にあたり、市が田久保前市長に対して損害賠償請求権を有している必要があります。

今回のケースでは、次のような点が問題となりそうです。

まず、議会の解散という田久保前市長の選択を「違法」と認めさせることの難しさです。これらは地方自治法178条が正面から認めた選択肢であり、これを違法とするには相当高いハードルがあります。

また、仮に経歴についての虚偽記載を行ったことを違法と評価したとして、虚偽記載がなければ選挙費用が発生しなかったのか、という因果関係の立証も問題となります。

さらに、仮に市の支出自体が違法だったという構成をとるにしても、市側にも選挙費用の支出を止める義務があったのかどうかも問題となりえます。議会解散や失職の後に選挙を実施することは法律上の義務であり、市側にその費用支出を拒む裁量はないため、支出の違法を問うことも難しいと考えられます。

こうした構造からすると、監査請求が棄却されたことは、むしろ自然な結果とも思えます。

なお、仮に住民訴訟の4号請求が認められたとしても、裁判所が田久保前市長に直接支払いを命じるわけではなく、市の執行機関に対し、田久保前市長への損害賠償請求を求める判決を下すことになります。

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