釣れすぎでタモ待ち渋滞 良型主体に全員安打達成
そのときは突然やってきた。
相模湾の沖に設置されているパヤオ(浮き魚礁)に船が寄るや否や「いたぞっ!」という叫び声とともに一斉にルアーが飛んだ。
シイラ軍団が海面下を突っ走る。緑に光る魚体。
青いヒレの閃ひらめき。
素早い泳ぎは実にエネルギッシュで夏の海の花火のような爆発力だ。
しかし、美しい光景に見とれているヒマはない。
「投げろ、投げろ!」
「いたぞ!」
「チャンス、チャンス!」
だれもがヒートアップして叫んでいる。
船中のパワーが1点に集中している。
「シイラだ! シイラを獲れ!」
「食った!」
「掛かったよ!」
信じがたいことに、全員の竿が一気にブチ曲がった。
あちこちからジャージャーというドラグ音が鳴り響く。
ドスン、バタン!
さっそく取り込まれたシイラが、力強く船のデッキをたたく。
叫び声。ドラグ音。
デッキがたたかれる音。
そして、魚の匂い。
実に勇壮だ。
釣りという概念を超えたダイナミックさが、ルアーシイラ船にはある。
「タモ、待ってね〜!」
船長が走り回る。
タモ待ち渋滞のうれしい悲鳴だ。
E2F取材班も、めでたく全員がシイラをキャッチした。
永遠の初心者・タカハシゴーでさえ、この勢いに乗ってシイラを釣り上げ、ご満悦だ。
これにて取材は大団円……と思いきや、なんとヨッシーがまだ釣っていない。
「ヒットしたんだけど、バレちゃったよ!」
悔しそうにうなるが、「ま、またチャンスはあるよ。それがシイラ釣りのいいところ」と切り替えも早い。
「マグロやヒラマサのキャスティングゲームだと、一日1回チャンスがあればいいほう。かなりギャンブル性が高いし、ワンミスが本当に致命的になる。でもシイラは、『またすぐに出会えるさ』と思えるし、実際にチャンスの多さが魅力なんだ。にもかかわらず、引きは強くてだいご味たっぷり。大物キャスティングゲームの入門にピッタリな釣り物なんだよ」
ミヨシの突き出しに立って、遠くを見つめるヨッシー。
それは悔しさゆえではなく、次のチャンスをサーチするためだった。
そしてシイラのスパークは何度も起こり、ヨッシーも待望の1尾を上げた。

ヒットすると強烈な引きと派手なジャンプでファイトする
ルアーシイラは安全第一で船長の指示に従って楽しむ
7時10分にいきなりスタートしたシイラ・ビッグ・フェスティバル・イン・サガミワンは、その始まりと同じぐらい唐突に終わりを告げた。
爆走シイラ軍団はサッサと姿を消し、船が一気に静かになる。
庄三郎丸はパヤオを離れ、次のチャンスを探す。
狙いは潮目だ。
色いろなものがある程度まとまって浮いており、その下にシイラがいる。
船はたまに激しく加速し、急減速する。
一眼となったワンチームが、さらに血眼になって水平線を見やる。
指さす。
叫ぶ。
船、走る。
減速したな、と思うや否や、ルアーが飛ぶ。
「庄三郎丸は、船が止まって船長が『どうぞ』と言う前に、どんどんルアーを投げ込むアグレッシブなスタイルなんだ。そうやってだれかがシイラを引きずり出してくれれば、船全体のチャンスになる。ただテンションが上がっているだけじゃなくて、効率的なんだよ。ただ、このあたりは船によって作法が違うんだ。船長の指示に従うか、常連さんたちの動きをよく見ておく必要があるね」
船のキャスティングゲームには、独特な緊張感がある。
「獲物を獲る。なんとしても獲る」という狩猟本能がむき出しになっていることと、そこにリスクがあるからだ。
「庄三郎丸はバーブレスフックが必須で、サングラスと滑りにくいシューズの着用を推奨している。
これらはすべて危険防止のためだ。
『オーバーヘッドキャストするときは後ろを必ず確認してね』ともアナウンスしてたよね。船の上でルアーを投げるのは、どうしても危険が伴うんだ。しかも魚の姿を見て釣るサイトフィッシングだから、どうしたってアドレナリンが噴き出す。盛り上がりながらも落ち着いていないと、本当にヤバイ目に遭うこともあるからね。まずは船長の指示をよく聞くこと。そしてベテランの常連さんたちの動きをよく見て、分からないことがあったら放っておかずにどんどん聞くこと。釣果よりも、まずは安全第一。慌てないことが大事だよ」

周りの安全を確認してからキャストする

