嚥下食をいざ準備しようとしても「普通の食事を細かくすればいいの?」「市販品の種類が多すぎてどれを選べばいいかわからない」と、戸惑ってしまう方も少なくありません。嚥下食は本人に合った形態を選ばないと、誤嚥や窒息、さらには低栄養を引き起こすリスクもあるとされています。
本記事では嚥下食について以下の点を中心に紹介します。
嚥下食とは
嚥下食の種類について
嚥下食のポイントと注意点
嚥下食について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
高山 哲朗(かなまち慈優クリニック)
理事長 高山 哲朗
平成14年慶應義塾大学卒業
慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院等を経て、
平成29年 かなまち慈優クリニック院長
【所属協会・資格】
医学博士
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本医師会認定産業医
東海大学医学部客員准教授
予測医学研究所所長
嚥下食とは

嚥下食と普通の食事の違いを教えてください
嚥下食と普通の食事の違いは、食べる方の飲み込みやすさに合わせて、食事の形ややわらかさが調整されているかどうかです。普通の食事は、咀嚼や飲み込みに大きな問題がない方を前提にしています。一方、嚥下食は、摂食・嚥下機能が低下している方に配慮し、誤嚥を防ぎながら食べやすくするための食事です。
具体的には、以下のような工夫が行われます。
・やわらかく調理する
・ミキサーでペースト状にする
・ゼリー状にする
・とろみをつける
・食塊をまとまりやすくする
嚥下食には、嚥下機能の評価レベルに応じた段階があり、嚥下訓練食や介護食も含まれます。状態に合った食事を選ぶことで、お口から食べる楽しみを保ちながら、安全性や栄養状態の改善にもつながります。
本人の状態に合わせて嚥下食を選ぶ必要性を教えてください
食べる機能は、加齢や疾患によって低下することがありますが、低下の程度はそれぞれ異なります。同じ嚥下食でも、やわらかさや形態、とろみの程度はさまざまなので、本人の状態に合わせて選ぶことが大切です。介護食には、食べる機能の状態に応じたレベルがあるため、気になる方は安全に食事をするための目安にしてみましょう。本人の嚥下機能に合った食事を選ぶことで、無理なく食べやすくなり、食事に対する不安軽減につながります。
一方で、嚥下食は水分を多く含むため、普通食より栄養価が低くなりやすい点には注意しましょう。低栄養を防ぐためにも、安全性だけでなく、栄養価を高める工夫も併せて考えることがポイントです。
嚥下食の種類と特徴

嚥下食にはどのような種類がありますか?
嚥下食は、食べる方の摂食および嚥下機能に合わせて段階的に分類されます。普通食から嚥下訓練食品までを、食べやすさや飲み込みの難易度に応じて整理したものを、嚥下食ピラミッドといいます。嚥下食の主な種類は次のとおりです。
・レベル0:開始食・嚥下訓練食品
お茶ゼリー、果汁ゼリー、とろみをつけた飲み物など。0jはゼリー状、0tはとろみ状を指し、嚥下訓練を始める段階で用いられます。
・レベル1:嚥下食Ⅰ
ゼリー、プリン、ムース、重湯ゼリー、具のない茶碗蒸しなど、なめらかでまとまりやすい食品です。
・レベル2:嚥下食Ⅱ
ミキサー食、ピューレ食、ペースト食が中心です。なめらかで均質なものと、やわらかい粒を含むものに分けられます。
・レベル3:嚥下食Ⅲ
やわらか食やソフト食で、普通の食事に近いメニューも取り入れやすい段階です。
・レベル4:介護食・移行食
軟飯、全粥、軟菜食など、噛む力や飲み込みに配慮した食事です。
・レベル5:普通食
健康な方が摂る食事で、嚥下障がいがある方には食べるのが難しい場合があります。
ペースト食、きざみ食、ミキサー食の違いは何ですか?
ペースト食、きざみ食、ミキサー食は、いずれも食べる力に合わせて調整する介護食ですが、形態や向いている方が異なります。
・きざみ食
通常の食事を5mm〜2cm程度に細かく刻んだ食事です。噛む力が弱い方や、お口を開けにくい方におすすめです。普通食に近い見た目や食感を残しやすい一方、飲み込む力が弱い方では誤嚥に注意しましょう。
・ミキサー食
調理した食材をミキサーやブレンダーにかけ、なめらかなポタージュ状や液体状にした食事です。噛む必要は少ないものの、水分が多いとまとまりにくいため、とろみをつけて調整することがあります。
・ペースト食
ミキサー食と似ていますが、水分量を少なめにし、粘度をもたせてお口の中でまとまりやすくした食事です。舌や口腔内の動きが弱い方にもおすすめの形態ですが、本人の咀嚼や嚥下の状態に応じて選ぶことが大切です。
市販の嚥下食を選ぶときのポイントを教えてください
市販の嚥下食を選ぶ際は、まず食べる方の噛む力と飲み込む力に合っているかを確認しましょう。容易に噛める、歯茎でつぶせる、舌でつぶせる、噛まなくてよいなどの状態を目安として、それぞれに合うやわらかさを選びましょう。また、選ぶときは普段の食事のなかで、硬いものが食べづらいか、おかゆなら食べられるか、水やお茶が飲み込みにくいかなども観察してみましょう。判断に迷う場合や、むせやすい、飲み込みに不安がある場合は、自己判断せずクリニックや管理栄養士などに相談しましょう。

