嚥下食を始める前に知っておきたいポイントや注意点

自宅で嚥下食を作る際の調理ポイントを教えてください
自宅で嚥下食を作る際は、飲み込みにくい食品を避ける、または食べやすい形に調整することが大切です。硬いもの、ポロポロしてまとまりにくいもの、喉にはりつきやすいもの、パサつくもの、サラサラした水分は注意が必要です。調理では、次の工夫を取り入れてみましょう。
・刻む、ミキサーにかける
・ゼリー状やペースト状にする
・あんかけでまとめる
・水分を加えてやわらかくする
・飲み物には必要に応じてとろみをつける
肉や魚は切り込みを入れたり、ひき肉や白身魚を使ったりすると食べやすくなります。野菜はやわらかく茹で、繊維を断ち切るように調理しましょう。パンなどパサつく食品は、牛乳にひたすなど水分を加えるのもおすすめです。とろみは強すぎると喉にはりつく場合があるため、状態に合わせて調整しましょう。
嚥下食を食べてもらうときの注意点を教えてください
嚥下食を食べてもらう際は、誤嚥を防ぐために、食事前の状態確認と環境づくりが大切です。しっかり目覚めていなかったり、注意が散漫になっていたりすると、飲み込みが不安定になりやすいため、声をかけて落ち着いて食事に集中できる状態を整えましょう。食事前後のポイントは次のとおりです。
・手・口・のどが清潔か確認する
・食べる前に嚥下体操を行う
・食べやすいものから、ゆっくりよく噛んで食べる
・食後は歯磨きやうがいで口腔ケアを行う
姿勢にも注意が必要です。椅子に座る場合は、かかとを床につけて姿勢を安定させます。むせやすい方はやや前かがみで顎を引き気味にし、逆流しやすい方は上体を起こした姿勢を保つとよいでしょう。
ベッドで食べる場合は、背もたれを起こし、首が少し前に曲がるよう枕などで調整しましょう。食事はリラックスした雰囲気で進めることも大切です。
嚥下食でも栄養不足になることはありますか?
嚥下食でも栄養不足になる可能性はあります。嚥下障害があると飲み込みにくさから食べられる量が減り、食欲も落ちやすくなるとされています。また、嚥下食は飲み込みやすくするために水分を加え、ペースト状やピューレ状に調整することが多いため、通常の食事より栄養価が下がりやすい点にも注意が必要です。
なかでも、不足しやすい栄養素には以下が挙げられます。
・エネルギー
・たんぱく質
・カルシウム
・亜鉛
・ビタミンD
・鉄、ビタミンC
嚥下機能の低下に合わせて食形態がやわらかくなるほど、栄養量が不足しやすくなる傾向があります。低栄養は筋肉量や体力の低下にもつながるため、安全に食べられる形にするだけでなく、必要な栄養を補う工夫を意識しましょう。
嚥下食を始める際に相談できるところはありますか?
嚥下食を始める際は、自己判断だけで進めず、嚥下障害に対応できる医療機関に相談しましょう。相談先には、嚥下障害を支援する言語聴覚士も挙げられます。言語聴覚士は、専門的な知識と技術を用いて検査や訓練、指導と援助を行い、機能の改善や生活の支援につなげます。
嚥下障害は、加齢や脳卒中、脳神経の病気など原因がさまざまで、対処法も異なります。まずは然るべき場所で診断を受け、本人の状態に合った嚥下食を選びましょう。
編集部まとめ

ここまで嚥下食についてお伝えしてきました。嚥下食の要点をまとめると以下のとおりです。
嚥下食は、噛む力や飲み込む力が低下した方に合わせ、やわらかさや形、とろみを調整した食事で、誤嚥を防ぎ、食べやすくする目的がある
嚥下食には、ゼリー状の訓練食品、ミキサー食、ペースト食、やわらか食、軟飯や全粥などがあり、本人の嚥下機能に応じて段階的に選ぶことが大切である
嚥下食は、本人の状態に合わないと誤嚥や窒息、低栄養につながるおそれがあるため、姿勢や食事環境、口腔ケアにも注意し、必要に応じて相談する
嚥下食は、安全に食べるためだけでなく、食事の楽しみを保つためにも大切です。本人の状態に合った形を選び、栄養面や食べる環境にも配慮しながら進めましょう。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献
「嚥下障害」 ってなに?“食べる・飲む”の大切なお話|藤田医科大学
【嚥下調整食分類早見表】|熊本大学医学部附属病院
摂食・嚥下(食べたり飲み込んだりすること)の留意点|独立行政法人国立病院機構 刀根山病院

