女優の見上愛が一ノ瀬りん、上坂樹里が大家直美という2人のヒロインを演じるNHK連続テレビ小説「風、薫る」(総合など)の第71回が6日に放送される。この日からドラマは第15週「差し出せぬ手」(第71~75回)に入る。第15週は、前半最大級の転機となる可能性がある。三浦ツヤ(東野絢香)の解雇に始まり、土居ヒデ(池田朱那)の退学、山本辰治(本田大輔)との出会いを経て、りんは「患者に寄り添うこと」と「看護婦として守るべき責任」の狭間で決断を迫られる。第14週で描かれた伏線を振り返りながら、第15週の見どころを解説する。
朝ドラ「風、薫る」第71回(7月6日放送予定)見所
花火の日、りんは、がん患者の山本の願いをかなえるため、山本を連れて彼の自宅の家に向かう。そこで妻のテイ(伊勢佳世)と再会した山本は、「ある嘘」をつく。
朝ドラ「風、薫る」第14週「ウソと誠」ストーリー展開【ネタバレ】
第14週は、りんが看護婦としての理想と現実の狭間で大きく揺れ動く、物語前半の重要な転換点。ツヤの解雇をきっかけに続くヒデの退学、看護婦取締からの降格、そして終末期患者・山本との出会いを通して、りんは「患者に寄り添うこと」と「組織の規律を守ること」という相反する価値観に直面した。さらに、直美や「シマケン」こと島田健次郎(Aぇ! group・佐野晶哉)、軍人・小川吾郎(甲斐翔真)ら主要人物の関係性にも新たな変化が生まれ、第15週へ向けた複数の伏線が丁寧に積み重ねられた。
【以下、ネタバレ】
看病婦だったツヤの解雇から2カ月後、りんは、がんの疑いがある新患・山本の担当を見習生のヒデに任せる。山本は冗談を交えながら「夏には牛鍋を食べたい」と前向きに語るが、りんは自分を見つめるヒデの冷たい視線に気づく。一方、内科では直美が患者・陣内清(細川岳)を献身的に看護し、その姿を見た小川は「大家さんは看護婦が天職だ」と感心する。詰所では看病婦の永田フユ(猫背椿)が、ツヤの一件以来、無理を重ねるりんを案じながら、看病婦という仕事の将来への不安を打ち明けた。
講義後、ヒデはりんに「先生は看護の仕事が天職だと思ってますか?」と問いかける。りんは「天職、にしたいと思っている。看護婦の仕事は好きで楽しいから」と答えるが、その言葉に迷いもにじむ。翌日、ヒデは突然「私、辞めます」と退学を決意。「一ノ瀬先生がいい看護婦なら、私は看護婦にはなれないし、なりたくありません」と言い放ち、「看護って何ですか?」と問い詰める。りんが目の前の患者を救うことだと答えると、「その目の前に、ツヤさん、いましたよね?」と厳しく責め、病院を去っていった。
責任を感じたりんは幼なじみの竹内虎太郎(小林虎之介)に胸の内を明かすが、虎太郎は、辞めたのはヒデ自身の問題と励ます。しかし院長の多田重太郎(筒井道隆)は、成績優秀なヒデを退学させた責任を理由に、りんを看護婦取締から外し「一看護婦」へ降格させ、直美が外科の看護婦取締を兼任することになった。山本は「自分が努力するより、下の者を育てる方がよっぽど難しい。答えが出るのはずっと先だ」と落ち込むりんを優しく励ました。
その頃、一ノ瀬家で引っ越しが決まり、凛の母・美津(水野美紀)は直美にも一緒に暮らそうと声をかける。そこへ“詐欺師”寛太(藤原季節)が訪ねてきて、直美の母「夕凪」の手掛かりを伝える一方、「あの一家と家族ごっこで満たされてるか?」と皮肉を口にする。すると、りんは「家族みんなで」引っ越すと宣言し、直美へ真っすぐ視線を向ける。その思いに応えるように、直美も新しい家で暮らす決意を固めた。引っ越し当日は丸山忠蔵(若林時英)が手伝いに駆け付け、近所の人々に見送られながら一家は新居へ移る。丸山は団子屋を継いだことを報告し、新たな門出への意気込みを語った。
一方、新聞社ではシマケンが書評家として高く評価され、編集長の綿貫正平(小松和重)から次々と仕事を任されるが、シマケンは小説を書く時間が減ることに葛藤していた。
りんは、山本の武勇伝の多くが作り話だと妻のテイ(伊勢佳世)から聞くが、以前山本から掛けられた励ましの言葉への感謝を伝え、山本を励まして手術へ送り出した。
その後、りんはシマケンから受け取った「とんび」の礼を伝え、「大事な時に間違えてばかり」と自信を失っている胸の内を明かす。シマケンは、看護婦になることを心から楽しみ、患者の話を生き生きと聞いていた頃のりんが「好き」と伝え、慌てて仕事への向き合い方の話だと言い直す。りんも患者と向き合う時間が増えたことを前向きに受け止め、「シマケンさんは、私のとんびですね」と笑顔を見せた。
内科では、陣内が退院したことを知らない小川が病院を訪れ、持参した団子を直美に勧める。直美は「特別の特別の特別に」と口にし、小川は直美の働く姿に尊敬の念を抱いていると打ち明ける。「また来ます」と話す小川に、直美は最初こそ突き放すものの、最後は友人になろうと提案し、小川は満面の笑みを浮かべた。
退院した山本は数カ月後、がん再発の疑いで再入院。教授の今井益男(古川雄大)は一刻も早い手術が必要だと説明し、テイはわずかな望みに懸けて手術を決断する。手術前日、山本は花火の日に夫婦で牛鍋を食べることが毎年の楽しみだったと明かし、去年交わした「来年も一緒に食べよう」という約束を果たしたいと語る。手術は行われるが、目覚めた山本は病状を悟り、「俺は…がんが広がったんだろ?」と問い掛ける。りんが否定すると、「一ノ瀬さんもつけるんだな、嘘を…」と静かにつぶやいた。
その後、テイが発熱で見舞えなくなり、余命あとわずかと告げられた山本は、「俺をこっそり家につれていってもらえませんかね?」とりんに懇願する。このまま病院で死ねば、テイが一生「手術しなければよかった」と自分を責め続けると訴え、「最後に一つ嘘をつかせて欲しい。助けてください…」と頭を下げた。山本の妻への深い愛情と思いやりに心を動かされたりんは、山本とともに私服へ着替え、夜の病院を抜け出し、人力車で山本の自宅へ向かった。

