「高血圧」を放置するとどうなるかご存じですか? 脳・心臓・腎臓・目への影響を医師が解説

「高血圧」を放置するとどうなるかご存じですか? 脳・心臓・腎臓・目への影響を医師が解説

今日から始められる――高血圧の治療と生活習慣の改善

今日から始められる――高血圧の治療と生活習慣の改善

編集部

高血圧と診断された場合、どのような治療が行われるのでしょうか?

津田先生

高血圧治療は、生活習慣の修正と患者さん一人ひとりの病態に合わせた薬物療法を組み合わせて段階的に進めます。第1選択薬としては、カルシウム拮抗薬(血管を広げて血圧を下げる薬)、心保護・腎保護作用に優れたARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)やACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)、利尿薬などが広く用いられます。
これらの薬で目標値(家庭血圧125/75mmHg未満)に達しない場合や、心不全・慢性腎臓病などの合併症がある場合には、それぞれの病態に配慮した薬剤が選択されることもあります。適切な薬剤調整が脳卒中や心血管病の発症率を低下させると臨床試験で示されており、副作用に配慮しながら安全に降圧を図ります。

編集部

薬を使わずに血圧を下げられるのでしょうか?

津田先生

薬を使わずに血圧を下げる「生活習慣の修正」は、すべての高血圧治療の基盤であり、組み合わせれば10mmHg以上の強力な降圧効果が示されています。最も重要な食事療法の柱は「減塩」で、1日6g未満を目標とし、だしやスパイスを活用して塩分を控えることで平均約5mmHgの降圧が期待できます。さらに、野菜・果物を積極的に摂り、飽和脂肪酸を控える「DASH食(高血圧に有効とされる食事パターン)」を組み合わせると、より優れた降圧効果が得られます。

編集部

運動についてはいかがでしょうか?

津田先生

運動療法では、ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動が効果的です。「ややきつい」と感じる強さで1日30分以上、または週150分以上定期的に行うと、血流が改善し約2〜5mmHg血圧が下がります。運動療法に加え、BMI(体格指数)25未満を目指す適正体重の維持や節酒も並行します。軽症であれば生活習慣の修正だけで薬が不要になるケースも多いため、患者さんのライフスタイルに合わせた無理のない改善プランを提案しています。

編集部

早期に受診・治療を始めることで、どのような変化や改善が期待できますか?

津田先生

高血圧を早期に発見し、速やかに治療を開始すれば、血圧の数値を下げるだけでなく、将来の生活の質を大きく向上させられます。初期段階で適切なコントロールを始めれば、脳卒中、心疾患リスクを減少させられると報告されています。さらに、慢性腎臓病による人工透析への移行や、将来の認知症発症リスクを食い止めることができます。
早期であればあるほど、薬を使うとしてもごく少量で済むケースが多く、生活習慣の修正だけで正常血圧を維持できる可能性も十分にあります。「定期健診で少し高めと言われたけれど、どこも痛くないし元気だから……」と受診を迷っている人は非常に多い傾向にあります。しかし、医療機関の受診は5年後・10年後も今と変わらず健やかな毎日を送るための未来への投資です。「経過観察」の段階での検討をおすすめします。

編集部まとめ

高血圧は症状がないまま進行することが多く、気づかないうちに脳や心臓、腎臓、目など全身の臓器へ影響を及ぼします。そのため、健診で「血圧が高め」と指摘された段階で対策を始めることが重要です。家庭での血圧測定や減塩、運動習慣の見直しに加え、必要に応じて医療機関へ相談すれば、将来の脳卒中や心筋梗塞などのリスク低減が期待できます。症状がないからこそ後回しにせず、一度自身の血圧と向き合ってみてはいかがでしょうか。本稿が読者の皆様にとって、健康管理や受診を考えるきっかけとなりましたら幸いです。

配信元: Medical DOC

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