デスクワークの人が「椎間板ヘルニア」になりやすい意外な理由をご存じですか?【医師監修】

デスクワークの人が「椎間板ヘルニア」になりやすい意外な理由をご存じですか?【医師監修】

「椎間板ヘルニア」は、重い物を持つ仕事の人や高齢者に多い病気というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。しかし近年は、デスクワークや在宅ワークなど、長時間座って過ごす人にも増えているといわれています。その大きな原因の一つが、「前かがみの姿勢」と「長時間同じ姿勢で動かない生活習慣」です。腰痛や足のしびれを“疲れのせい”と放置していると、実は椎間板ヘルニアが隠れていることもあります。そこで今回は、椎間板ヘルニアが起こる原因や症状、治療法、日常生活でできる予防について、戸塚共立第2病院副院長の逸見先生に詳しく伺いました。

※2026年3月取材。

逸見 範幸

監修医師:
逸見 範幸(戸塚共立第2病院)

戸塚共立第2病院副院長、人工関節センター長。股関節・膝関節の人工関節治療を中心に、脊椎疾患、関節リウマチなど幅広い整形外科診療に従事している。日本整形外科学会専門医・指導医。昭和医科大学横浜市北部病院非常講師として教育・研究にも携わる。人工関節治療や脊椎疾患の専門的な診療だけでなく、整形外科一般の診療にも力を入れ、患者さんの生活背景に合わせた治療を大切にしている。

椎間板ヘルニアとはどのような病気?

椎間板ヘルニアとはどのような病気?

編集部

はじめに、椎間板ヘルニアとはどのような病気なのか教えてください。

逸見先生

背骨(椎体)と背骨の間には、「椎間板」という軟骨のクッションがあります。この椎間板は若いときには水分が多く、弾力があってみずみずしい状態ですが、年齢とともに水分が減り弾力がなくなってきます。人間の動きは前かがみになる動作が多く、前かがみになると椎間板の前方に圧力がかかります。すると、その圧力により椎間板が後ろに飛び出し、神経の通り道を圧迫してしまうことがあります。これが椎間板ヘルニアです。つまり、椎間板というクッションがつぶれ、後ろに飛び出して神経を圧迫することで、腰痛や足のしびれが起こる病気です。

編集部

椎間板ヘルニアはどのような症状が現れることが多いのでしょうか?

逸見先生

主な症状は「腰痛」と「足にかけての痛みやしびれ」です。知覚障害や歩行障害が出ることもあります。椎間板は真ん中に飛び出す場合もありますが、右か左どちらか片側に突出することが多く、両足ではなく片側の足に痛みやしびれが出ることが多いのが特徴です。痛みが強いと歩くのがつらくなり、日常生活に支障が出ることもあります。

編集部

椎間板ヘルニアはどのような人に多い病気なのでしょうか? 原因について教えてください。

逸見先生

体重が多い方、重い物を持つ仕事の方、前かがみの動作を繰り返す方に多いですね。例えば、ゴルフや農作業のように前屈を繰り返す動作は腰に大きな負担がかかります。また、椎間板への圧力は、寝ているときが最も低く、次に立っているとき、そして座っているときや前かがみの姿勢の順に高くなります。つまり、長時間座る仕事や前かがみの姿勢が多い生活は、椎間板にとって負担が大きいということになります。

編集部

椎間板は年齢とともに傷んでくるとのことですが、誰にでも起こるものなのでしょうか?

逸見先生

椎間板は年齢とともに誰でも変性が生じます。変性した椎間板は徐々に潰れ、腰痛・ぎっくり腰・神経痛を発症しては馴染んできます。これを繰り返しながら、誰しも年齢とともに身長が縮んでいくのです。急激に潰れたり、何か所も次々と潰れたりすると、神経への圧迫が強くなります。一方、ゆっくり潰れてくると椎間板ヘルニアや神経痛は生じにくくなります。

「座っている時間」より「動かない時間」がリスクになる?

「座っている時間」より「動かない時間」がリスクになる?

編集部

デスクワークの人は椎間板ヘルニアになりやすいと言われますが、本当なのでしょうか?

逸見先生

デスクワークの方は多いと思います。座っている姿勢は立っているときより椎間板にかかる圧力が高く、さらに前かがみの姿勢になることで椎間板の前方に常に圧力がかかります。椎間板が傷んできたときに、その圧力によって後ろに飛び出しやすくなるため、長時間座る仕事は椎間板ヘルニアのリスクが高いといえます。

編集部

長時間、同じ姿勢でいることは背骨や椎間板にどのような負担をかけるのでしょうか?

逸見先生

特に良くないのは、前かがみの姿勢が続くことです。低い椅子に座る、あぐらをかく、床に座る、座椅子に座る、こたつで足を伸ばして座るといった姿勢は、腰を曲げた状態が続くため、常に前屈しているのと同じような状態になります。このような姿勢が長時間続くと椎間板に負担がかかり、ヘルニアになりやすくなります。床に座る生活は腰にはあまり良くなく、もし床に座るのであれば、あぐらや長座よりも正座の方がまだ腰への負担は少ないといえます。しかし、正座は膝に負担をかけますので注意しましょう。

編集部

特にリスクが高い座り方や生活習慣はありますか? 在宅ワークやスマホの使い方なども含めて教えてください。

逸見先生

机やパソコンの位置が低いと前かがみの姿勢になりますし、スマートフォンを長時間、うつむき姿勢で操作するのは、首の椎間板ヘルニアの原因にもなります。人間は前かがみの動作は多いですが、背中を反らす筋肉はあまり使わなくなるため、背中の筋肉が弱くなり、椎間板への負担がさらに増えてしまいます。

配信元: Medical DOC

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