夫が退職して家にいる時間が長くなってから、わが家の雰囲気は少しずつ変わっていきました。会社で長く管理職をしていた夫は、家の中でもまるで上司のように振る舞うようになったのです。私が言えずにいた不満を、帰省した娘のひと言が代弁してくれました。
家でも会社のような夫
夫は退職後、毎日家にいるようになりました。最初のころは、これまで忙しく働いてきた分、ゆっくり過ごしてほしいと思っていました。
ところが、しばらくすると夫は、食事の時間や掃除の仕方、洗濯物の干し方にまで細かく口を出すようになりました。「昼は何時にできるんだ」「ここにほこりが残っている」「新聞は先にこっちへ置いてくれ」など、まるで私に仕事を指示するような言い方をするのです。
私も最初は、急に生活が変わって夫も戸惑っているのだろうと思い、なるべく受け流していました。しかし、毎日続くと、家にいるのに気が休まらなくなっていきました。
娘が違和感に気付く
そんなある日、遠方に住む娘が久しぶりに帰省しました。娘が来てくれるのはうれしく、私はいつもより張り切って夕食の支度をしていました。
けれど娘は、夫の様子を見てすぐに違和感を覚えたようでした。夫は私に向かって「皿はそっちじゃない」「味噌汁はまだか」「お茶」と、当たり前のように言いました。
私はいつものことだと思って動こうとしましたが、娘の表情が少し曇ったのがわかりました。娘は何も言わずに見ていましたが、明らかに驚いている様子でした。

