●宗教界でもハラスメントへの意識は高まっている
──一般社会では、厳しい指導がハラスメントと受け止められるケースも増えています。宗教界・仏教界でも、修行や指導のあり方を見直す動きはあるのでしょうか。
一般社会と同様に、宗教界・仏教界でもコンプライアンスの意識は高まり、ハラスメントへの対応が求められるようになっています。
これまでは業界の“内輪”で処理されていたような事案もあったと思いますが、近年は寺院での性暴力や、僧侶が修行する「僧堂」で起きた暴行事件なども積極的に報じられるようになりました。
さらに、SNSの普及によって、問題は瞬く間に世間へ拡散します。
寺社仏閣の不祥事は特に耳目を集めやすく、炎上にもつながりやすい傾向があります。そのため、修行機関に携わる宗教者は、ハラスメントを防ぐことについて以前よりも相当センシティブになっているのではないでしょうか。
●「修行」と「人権」は両立できる
──僧侶や寺院関係者もハラスメント研修を受ける機会はありますか。
宗派や寺院によってハラスメントの防止に対する姿勢はまちまちですが、大きな傾向としては、宗派が中心となってハラスメント防止のガイドラインを策定したり、ハラスメント防止研修を実施する動きが広がっています。
──修行の意義と、現代的な人権意識やハラスメント防止の考え方は、どのように両立させるべきでしょうか。
修行とは、自分自身の内面と向き合い、人格的な成長を目指す宗教的な実践行為です。
その過程で、指導者から厳しい指導を受けたり、修行者同士の真剣なぶつかり合いが必要な場面もあるでしょう。
しかし、指導者と修行者の双方が、「何のために修行をするのか」という原点に常に立ち返っていれば、ハラスメントが起こることはないと思います。
修行と現代的な人権感覚は、必ずしも矛盾するものではなく、むしろ十分に両立できるものだと考えています。
【取材協力弁護士】
本間 久雄(ほんま・ひさお)弁護士
平成20年弁護士登録。東京大学法学部卒業・慶應義塾大学法科大学院卒業。宗教法人及び僧侶・寺族関係者に関する事件を多数取り扱う。著書に「弁護士実務に効く 判例にみる宗教法人の法律問題」(第一法規)などがある。
事務所名:横浜関内法律事務所
事務所URL:https://jiinhoumu.com/

