「まだ大丈夫」で進む脱水。子連れの夏レジャーで気をつけたいこと

「行動ルール」も決めておく

夏のレジャーでは、現地で慌てないためにも、あらかじめ「行動ルール」を決めて共有しておきましょう。

レジャー施設や海水浴場、フェス会場などでは、人混みや通信環境の悪化によって連絡が取りづらくなることがあります。そのため、同行者とはぐれた場合の集合場所や連絡方法、スマートフォンが使えない場合の対応などを確認しておきましょう。

また、体調が悪くなった際にどこで休むのか、どの段階で予定を中止するのかといった判断基準も共有しておくことが大切です。「頭痛がしたら休む」「吐き気があればすぐ移動する」「一定時間ごとに水分補給をする」というルールを決めておくと、無理を防ぎやすくなります。

特に子ども連れの場合は、「誰が見守るのか」「どの範囲まで遊ばせるのか」「水辺では必ず大人が近くにいるのか」「30分おきに、などと時間を決めて人数確認をする」といった役割分担を明確にしておく必要があります。子どもは遊びに夢中になると、自分で暑さや体調不良に気づきにくいため、大人側が意識的に休憩や水分補給を促すことが重要です。

夏のレジャーでは、「せっかく来たから」「もう少しだけ」と無理をしてしまいがちですが、熱中症や事故は短時間で深刻化することがあります。安全に楽しむためにも、事前にルールを決め、同行者全員で共有しておくことが大切です。

朝に食欲がない時はゼリー飲料を

朝食を摂らずに夏の屋外レジャーへ出かけることは、熱中症リスクを高めます。夏のレジャー当日は、朝早く出発することも多く、移動中に食事を済ませる人もいるかもしれません。また、暑さで食欲がないといった理由から、朝食を抜いてしまう人もいるのではないでしょうか。

しかし、睡眠中は汗をかいているだけでなく、呼吸や皮膚から自然に水分が失われる「不感蒸泄」も起きており、起床時の体はすでに軽度の脱水状態に傾いています。そこに朝食欠食が重なると、水分、電解質、糖質、ビタミン、たんぱく質など、身体機能を正常に働かせるために必要な栄養素が不足した状態で一日を始めることになります。

夏のレジャーでは、暑さによって大量の汗をかくため、水分とともにナトリウムなどの電解質も失われます。電解質は体内の水分バランスや神経・筋肉の働きに関わっているため、不足すると、めまいや立ちくらみ、こむらがえり、倦怠感などを引き起こすことがあります。

また、糖質は脳や筋肉の主要なエネルギー源であり、不足すると集中力や判断力が低下し、転倒や水辺での事故などにつながるおそれもあります。

理想的な朝食は、ごはんやパンなどの主食に加え、味噌汁やスープ、卵、魚、肉、納豆、ヨーグルト、果物などを組み合わせ、水分・電解質・糖質・たんぱく質をバランスよく補給できるメニューです。味噌汁やスープは、水分と塩分を同時に補えるため、夏の朝食にも適しています。

魚や肉に豊富なたんぱく質やアミノ酸は、元気に動くための筋肉や体のコンディション維持に関わります。アミノ酸は筋肉や身体機能の維持に関わるほか、水分や電解質の吸収を助ける働きも研究されており、暑熱環境下でのコンディション維持にも役立つと考えられています。

卵や納豆、豚肉などに含まれるビタミンB群は、糖質や脂質、たんぱく質をエネルギーに変える働きを助け、暑さで消耗しやすい夏場のエネルギー代謝を支えます。

魚介類に含まれるタウリンも、疲労対策で意識したい成分の一つです。疲労対策としてはクエン酸も、暑い日のレジャー時に取り入れたい栄養素。レモン、オレンジ、グレープフルーツ、梅干しなどに含まれます。

一方で、朝食を食べる時間がない、暑さで食欲がないという場合には、ゼリー飲料を活用するのがおすすめです。水分・糖質・電解質を含むゼリー飲料は、食欲がない朝でも摂りやすく、移動中や休憩時にも手軽に補給できます。ゼリー飲料も、アミノ酸、ビタミンB群、クエン酸などを含むタイプを選ぶとよいでしょう。

“うっかり朝食抜き”が、脱水や身体パフォーマンスの低下に繋がり大きなリスクになるので、ゼリー飲料を事前に荷物の中に備えておくのがおすすめです。

アイススラリーや冷やしたゼリーで、体の内側から冷やす備えも

近年、熱中症対策として、体を外側から冷やすだけでなく、体の内側から冷やす方法にも注目が集まっています。その一つが、アイススラリーや凍らせたゼリー飲料の活用です。

アイススラリーとは、液体と細かな氷の粒子が混ざったシャーベット状の飲料です。スーパーやコンビニエンスストアなどで購入でき、自宅の冷凍庫で凍らせたものを冷凍庫から出して15〜20分程度で飲める柔らかさになります。

微細な氷が体内でゆっくりと溶ける際に体の深部の熱を奪うため、水分を補給しながら深部体温の上昇を抑えることが期待できます。屋外レジャーでは、出発前や移動中、活動の合間、長時間日差しを浴びた後の休憩時などに取り入れやすい対策です。

冷やしたゼリー飲料や凍らせた飲料は、暑さで食欲がない時にも摂りやすく、暑さでバテてしまっている時にも美味しく水分・糖質・電解質を補給する手段として活用できます。

水分補給は「のどが渇く前」が原則。水だけでなく電解質と糖質も意識

夏の屋外レジャーでは、こまめな水分補給が欠かせません。ただし、重要なのは「のどが渇いてから飲む」のではなく、のどが渇く前から少量ずつ補給することです。

のどの渇きを感じた時点では、すでに体内の水分不足が始まっている場合があります。特に屋外レジャーでは、夢中になって遊んでいるうちに水分補給のタイミングが遅れやすく、気づかないうちに脱水が進んでしまうことがあります。

水だけを大量に飲むのではなく、ナトリウム、カリウムなどの電解質もあわせて補給することが大切です。汗には水分だけでなく塩分も含まれているため、水だけを補給し続けると、体内の電解質バランスが崩れ、かえって体調不良につながることがあります。

さらに、糖質も熱中症対策において重要な役割を持ちます。糖質は脳や筋肉のエネルギー源となり、活動中の集中力や判断力、体の動きを支えるために必要です。

長時間の屋外レジャーや発汗量が多い場面では、スポーツドリンク、ゼリー飲料、経口補水液を必ず持参して、状況に応じて飲むようにしましょう。

知っておきたい応急処置

熱中症は、早い段階で適切に対応できれば重症化を防げる可能性があります。一方で、対応が遅れると命に関わることもあります。

初期症状としては、めまい、立ちくらみ、頭痛、吐き気、倦怠感、大量の発汗、ふくらはぎのけいれん、顔のほてり、ぼーっとする、反応が鈍いなどがあります。こうした症状が見られた場合は、無理を続けず、すぐに行動を中断しましょう。

応急処置の基本は、涼しい場所へ移動すること、衣服をゆるめること、体を冷やすこと、水分と電解質を補給することです。特に、首すじ、脇の下、足の付け根など、太い血管が通る部位を冷やすと効率的に体温を下げやすくなります。

保冷剤、氷のう、冷たいペットボトル、濡れタオルなどを活用するとよいでしょう。水分を自力で飲める場合は、経口補水液などで水分と電解質を補給します。一度に飲めない場合は、少量ずつこまめに摂ることも大切です。

一方で、呼びかけへの反応がおかしい、意識がはっきりしない、まっすぐ歩けない、自力で水分を飲めない、嘔吐を繰り返す、けいれんがある、体が異常に熱い、応急処置をしても回復しないといった場合は、すでに重症化している可能性があります。このような状態では、無理に水分を飲ませると誤嚥の危険があるため、速やかに医療機関を受診するか、救急車を呼ぶ判断が必要です。

熱中症は短時間で急速に悪化することもあります。「少し休めば大丈夫」と自己判断せず、少しでも様子がおかしいと感じた段階ですぐに休ませ、医療機関や救急相談につなぐことが重要です。

帰宅後も油断禁物。「時間差熱中症」に注意

遊んでいた日中は問題がなくても、帰宅後や夜間に体調不良が現れることがあります。これは、現地では頑張っていて気づかなかった暑さによる疲労や脱水、水分・電解質不足、体温調節機能の乱れなどが、時間差で(遅れて)表面化するためです。

頭痛、吐き気、倦怠感、発熱、食欲低下、ぼんやりする、強い眠気などが見られることがあり、「時間差熱中症」と呼ばれることもあります。レジャー後の入浴や飲酒による脱水が誘因となって起こることもあります。

特に子どもは、自分の体調変化をうまく言葉にできないことがあります。そのため、帰宅後は「いつもより元気がない」「普段はしない昼寝をしている」「顔が赤い」「食欲がない」「水分を欲しがらない」「尿の色が濃い」といった変化がないか、保護者が注意して確認することが大切です。

夏の屋外レジャーは、家族や友人との大切な思い出になる一方で、熱中症や脱水、けが、水辺での事故などのリスクも伴います。特に近年は猛暑日が増え、屋外での活動にはこれまで以上に注意が必要です。

夏のレジャーを安心して楽しむためにも、出発前の準備、活動中のこまめな確認、帰宅後の体調チェックまでを一連の対策として意識しましょう。

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(マイナビ子育て編集部)

配信元: マイナビ子育て

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