手足口病は毎年夏になると流行するウイルス性の感染症です。口腔粘膜、手のひら、足に約2〜3mmの発疹が複数出ることが特徴で、軽度の発熱がみられることもあります。
子どもの病気という印象が強いですが、実は大人でも感染する可能性があります。大人の手足口病は子どもよりも症状が強く出るケースもあります。
この記事では手足口病が大人にもうつる理由や、感染経路、感染を予防するための方法などを解説します。
正しい知識を持って感染予防や重症化の防止につなげましょう。

監修医師:
居倉 宏樹(医師)
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。
手足口病は大人にもうつる感染症

年代別に手足口病の感染者数を教えてください
手足口病は、乳幼児を中心に発症し、発症者数の半数以上が5歳未満の子どもです。年齢別の感染者数では、年によって差はありますが、1歳児が最も多く、次いで2歳児、3歳児童と続きます。5歳以上の感染者数は全体の10〜15%程度であり、年齢が上がるにつれて感染者数は減少する傾向です。
小学生以降になると発症数は減りますが、学童期でも手足口病の流行が確認されています。成人期以降の正確な感染者数は把握されていませんが、成人の感染者は特に少ないといわれています。
これは、多くの大人が子どもの頃に手足口病にかかった経験があり、すでに手足口病のウイルスに対する免疫を持っているためと考えられます。
なぜ手足口病の感染者は子どもが多いのですか?
手足口病の感染者に子どもが多い主な理由は、ウイルスに対する免疫をまだ獲得していないためです。加えて保育園や幼稚園などの集団生活では子ども同士の接触機会が多く、感染が広がりやすい環境にあります。感染者の半数以上を占める2歳以下の子どもは咳エチケットや手洗いなどの衛生観念が未発達です。さらに、乳幼児はおもちゃを口に入れる、手や目、鼻を触るなど、接触感染の原因になりえる行動が多くみられます。
実際に毎年日本各地で手足口病が流行し、保育園や幼稚園などで集団感染が発生しています。
大人にも手足口病がうつる理由を教えてください
手足口病の原因となるウイルスは複数存在します。代表的なものにコクサッキーウイルスA6型、A10型、A16型やエンテロウイルスA71型などがあります。一度感染した手足口病のウイルスに対しては免疫ができるため、同一ウイルスへの再感染は基本的にはありません。ただし別の型のウイルスには免疫がなく、大人でも感染する可能性があります。
例えば、かつて手足口病の主要ウイルスはコクサッキーA16型、エンテロウイルス71型でしたが、近年ではコクサッキーA6型の流行が増加しています。そのため、これまでにコクサッキーA6型に感染歴がない大人はまだ免疫を持っておらず感染するケースがみられます。
手足口病の感染経路と大人にうつる期間

手足口病の感染経路を教えてください
手足口病は複数の経路により感染します。主な感染経路は以下のとおりです。これらの経路により、日常生活のなかで無意識のうちに感染が成立することがあります。
飛沫感染
感染者の咳やくしゃみなどから飛び散る細かい水滴(しぶき)に含まれるウイルスを吸い込み感染する。
接触感染
手に付着したウイルスが、お口や粘膜から侵入して感染する直接感染とウイルスが付着したドアノブ、食器、タオルなどの物を介して間接的な接触による感染(間接感染)。
糞口感染
便に含まれるウイルスから感染する。
大人に手足口病がうつりやすいのはどのような状況ですか?
大人への手足口病の感染はまれですが、家庭内で感染した子どもの看病や育児の場面においては感染のリスクが高まります。
例えば感染者がいる家庭では、会話、咳、くしゃみによる飛沫感染のリスクが高く、また接触感染も発生します。タオルや食器、ドアノブ、おもちゃなどを介して、ウイルスが手指を通じて体内に侵入します。
特に小さなお子さんが感染している場合には、おむつや排泄物の処理が不適切だと、便に含まれるウイルスから感染が広がるおそれもあります(糞口感染)。
また手足口病は症状が出ていなくてもウイルスに感染している(不顕性感染)こともあるため、気付かない間に感染するケースもあります。
手足口病が大人にうつる期間を教えてください
手足口病の感染力は強く、感染後から症状が消失した後まで長期間持続します。
ウイルスに感染してから症状が出るまでの期間(潜伏期間)は通常3〜5日で、この間も他人への感染が起こりえます。発症後は口内や手足に水溶性の発疹が現れ、発熱がみられることもありますが、ほとんどは7日以内に自然に回復します。
発疹が消えた後も3〜4週間は便中からウイルスが排出されるため、糞口感染に注意しなければなりません。
なお、大人が感染した場合も基本的に子どもと同様の経過をたどります。ただし、症状の出方は異なり、大人の手足口病は子どもに比べ発疹による痛みが強く出やすい傾向です。また強い喉の痛みにより食事の摂取が困難になることもあります。
手足口病の感染力が強い時期は感染後何日ですか?
手足口病の感染力が特に強いのは症状が出ている期間です。一般的に感染後3〜5日間の潜伏期間を経て、喉の痛み、発熱、発疹などの症状が現れます。発疹や唾液には大量のウイルスが含まれており、症状が続いている間(約1週間)は感染力が強く、周囲へ感染を広げる可能性が高まります。
この時期には保育園や幼稚園、学校を休むケースが多く、看病にあたる保護者や養育者が感染するリスクも増加します。

