突然、脇腹に激しい痛みが出ることもある尿管結石。水分不足や食生活が原因と思われがちですが、背景に別の病気が隠れている場合もあります。代表的な病気の一つが「原発性副甲状腺機能亢進(こうしん)症」です。今回は、尿管結石と原発性副甲状腺機能亢進症の関係について、おばな内科クリニック院長の川名部先生に聞きました。
≫【一覧でわかる】隠れた病気のサインかも!?繰り返す尿管結石は要注意!

監修医師:
川名部 新(おばな内科クリニック)
聖マリアンナ医科大学卒業。同大学病院では代謝内分泌を主として、糖尿病や生活習慣病を専門に経験を重ねる。2023年4月より川崎市中原区にある『おばな内科クリニック』を継承し、院長を務める。日本内科学会認定医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医、日本内分泌学会認定内分泌代謝科専門医、臨床研修指導医
尿管結石とはどんな病気?
編集部
尿管結石とは、どのような病気なのでしょうか?
川名部先生
腎臓でできた結石が尿管へ移動し、尿の流れを妨げる病気です。突然、脇腹から背中にかけて激しい痛みが出ることが多く、血尿や吐き気を伴う場合もあります。尿管結石による痛みは非常に激しく、「世界三大疼痛(とうつう)の一つ」と呼ばれることもあります。実際に、痛みの強さから、救急受診につながるケースも少なくありません。
編集部
なぜ尿管結石ができるのでしょうか?
川名部先生
尿の中のカルシウムやシュウ酸、尿酸などが結晶化し、石のように固まることで発生します。水分不足や食生活の乱れ、肥満などが関係すると考えられており、特に汗をかきやすい時期は注意が必要です。
編集部
尿管結石の原因は、生活習慣なのでしょうか?
川名部先生
体質や生活習慣が関係することはあります。一度だけではなく繰り返す場合や、比較的若い年齢で発症した場合は、背景に別の病気が隠れていることもあります。
編集部
別の病気とは、具体的にどのようなものでしょうか?
川名部先生
代表的なのは、原発性副甲状腺機能亢進症です。この病気になると、尿路結石(腎臓・尿管・膀胱・尿道など尿の通り道にできる結石の総称)を引き起こす場合があるのです。
原発性副甲状腺機能亢進症とはどんな病気?
編集部
そもそも、副甲状腺とはどのような組織なのでしょうか?
川名部先生
首の甲状腺の裏側にある、直径5mmほどの小さな組織です。通常は左右に2つずつ、計4個あります。副甲状腺ホルモン(PTH)を分泌し、血液中のカルシウムやリンのバランスを調整する重要な役割を担っています。
編集部
原発性副甲状腺機能亢進症について教えてください。
川名部先生
副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、血液中のカルシウム濃度が高くなる病気です。その結果、尿路結石や骨粗しょう症、高カルシウム血症によるさまざまな症状を引き起こすことがあります。この病気は主に、血液検査で異常が見つかる「化学型」、腎機能障害や尿路結石を起こしやすい「腎型」、骨粗しょう症などが見られる「骨型」に分けられます。実際には複数のタイプが重なることも少なくありません。
編集部
「高カルシウム血症によるさまざまな症状」とは、どのようなものでしょうか?
川名部先生
軽症のうちは、ほとんど自覚症状はありません。進行すると、先ほどの結石のほか、食欲不振、便秘、倦怠(けんたい)感、喉の渇き、多飲多尿などが見られることがあります。また、気分の落ち込みや集中力低下など、精神症状として表れる場合もあります。
編集部
原発性副甲状腺機能亢進症は、どのような人に多いのでしょうか?
川名部先生
中高年の女性に比較的多いとされています。ただし、尿路結石を繰り返している人や、骨粗しょう症を指摘されている人は、年齢や性別にかかわらず注意が必要です。また、健康診断で高カルシウム血症を指摘された場合や、尿路結石を繰り返している場合は、一度詳しく調べることをおすすめします。

