「暑い日に、なんだか頭がズキズキする」そんな経験をしたことはありませんか?
強い日差しが照りつけ、気温も高くなる夏の時期、炎天下で頭が痛くなったり、なんとなくぼんやりしたりしてしまうことがあります。
そのような症状は、もしかすると日射病のサインかもしれません。
本記事では、日射病とはどのような状態かを基本から解説し、頭痛が起こるメカニズムや特徴、受診の目安や治療法について、わかりやすく解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター
日射病の基礎知識

日射病はどのような病気ですか?
日射病は、炎天下で過ごすことで、直射日光により体温が上がり、熱がうまく逃げずにたまることで起こる症状です。体温調節機能が破綻することで、めまいや立ちくらみ、吐き気、頭痛などの症状が現れることがあります。
直射日光が原因となることから、日差しを避けるために、帽子や日傘の重要性が強調されてきました。
ただし現在では、熱中症の一部に位置付けられています。
日射病と熱中症の違いを教えてください
熱中症は、気温や湿度の高い環境で体温が上昇することで起こる身体の不調の総称であり、日射病はその一部です。
1990年代までは、暑さによって起こる体調不良は、熱失神(heat syncope)、熱痙攣(heat cramps)、熱疲労(heat exhaustion)、熱射病(heat stroke)などと分類されていました。そして、特に直接日光にさらされたことで起こるものが、日射病(sunstroke)と呼ばれていました。
しかし現在では、これらの概念は熱中症(heat illness)として整理され、症状の重さに応じて対応が行われています。
なお、現代においても直射日光による体調不良は日射病と表現されることもありますが、医学的には熱中症の一形態とされ、診断や治療は熱中症に準じて行われます。
日射病の症状を教えてください
日射病を含む熱中症では、以下のような症状がみられることがあります。
めまい
立ちくらみ
発汗過多
筋肉痛
筋肉の硬直(こむら返り)
頭痛
嘔吐
身体のだるさ(倦怠感)
これらは、熱中症の軽度〜中等度(Ⅰ〜Ⅱ度)にあたる症状です。多くは脱水や電解質バランスの乱れ、体温の異常上昇によって引き起こされます。
さらに症状が進行すると、けいれんや意識障害(中枢神経症状)、肝臓や腎臓の機能障害、血液凝固異常など、複数の全身症状を伴うことがあります。これらは熱中症の重症型(Ⅲ〜Ⅳ度)に分類され、命に関わる危険もあるため、早急な医療介入が必要です。
日射病で頭が痛くなるメカニズムと症状の特徴

なぜ日射病で頭が痛くなるのですか?
日射病(熱中症)による頭痛は、高体温によって引き起こされる複数の要因が関与していると考えられています。高温環境下で直射日光にさらされることによって体温が急上昇し、体外へ熱を逃がす機能(熱放散)よりも、体内での熱の産生が上回ることで、体内に熱がこもります。
体温を下げようとして大量に汗をかくと、体内の水分や電解質(特にナトリウム)が失われます。その結果、脳への血流が低下したり、電解質のバランスが崩れたりすることで、頭痛が引き起こされると考えられています。
さらに、体温の上昇に伴って脳の血管が拡張したり、炎症性サイトカインが放出されたりすることも、頭痛の一因となる可能性が指摘されています。
なお、こうした頭痛のメカニズムは、日射病に限らず、熱中症全般に共通してみられるものとされており、明確な区別はされていません。
日射病による頭痛の特徴を教えてください
日射病(熱中症)では、炎天下で体温が急激に上昇した後に、頭痛が目立つ症状の一つとして現れることがあります。
頭痛だけでなく、全身にさまざまな症状を伴うことが多いとされます。例えば、めまい、立ちくらみ、大量の発汗、吐き気や嘔吐などです。
さらに症状が進行すると、けいれんや意識障害などの中枢神経の異常をきたすことがあり、場合によっては全身臓器の機能障害に至ることもあります。
日射病による頭痛とほかの病気による頭痛はどう見分ければよいですか?
日射病(熱中症)による頭痛は、炎天下にさらされた後に生じるのが特徴です。高温環境にいたことに加え、めまいや立ちくらみ、嘔吐など、全身症状を伴うことが少なくありません。一方で、注意が必要な頭痛としては、くも膜下出血、脳出血、髄膜炎、脳炎などが挙げられます。これらはいずれも、後遺症や命に関わるおそれがある重篤な状態であり、早急な医療対応が求められます。また、命に関わる病気ではないものの、片頭痛の可能性を考慮すべき場合もあります。
見分ける手がかりとして、くも膜下出血や脳出血では、突然、これまでに経験したことがないような激しい頭痛が起こることが多くあります。
また脳出血では、障害された脳の部位によって、言葉が出にくい(失語)、ろれつが回らない(構音障害)、片側の手足に麻痺が出る(片麻痺)といった神経症状を伴うことがあります。
片頭痛では、光や音への過敏性や、視界にギザギザしたものがみえる(閃輝暗点)といった前兆がみられることがあります。また、これまでにも似たような頭痛を繰り返している場合も少なくありません。
高温環境下で起こった頭痛でも、必ずしも日射病(熱中症)によるとは限りません。異常を感じた場合は、医療機関での正確な診断が望まれます。

