日射病による頭痛の受診サインと治療法

日射病による頭痛ですぐに受診をした方がよい兆候を教えてください
日本救急医学会が提唱する熱中症重症度分類(2024)では、熱中症はⅠ〜Ⅳ度の4段階に分類され、頭痛はⅡ度に該当します。Ⅱ度以上では、医療機関での診察、治療が必要とされています。そのため、日射病(熱中症)による頭痛が疑われる場合には、基本的に速やかな受診が推奨されます。
また、突然、激しい頭痛を自覚した場合や、失語、構音障害、片麻痺などの神経症状を伴う場合には、重篤な病気を発症している可能性もあります。
特に、これまでに経験したことがない、突然の激しい頭痛や、どんどん悪化していく頭痛、脳神経の異常を伴う頭痛がある場合など、いつもと違って様子がおかしいと感じたときは、ためらわずに救急車を呼んでください。
日射病の頭痛は市販薬で治りますか?
一般に、市販の頭痛薬(解熱鎮痛薬)は、日射病を含む熱中症には推奨されません。市販薬としてよく使用される非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンは、発熱物質であるプロスタグランジンE2の合成を阻害するほか、体温調節中枢に作用することで、解熱や鎮痛の効果を発揮します。
しかし、日射病(熱中症)でみられる高体温は、感染症や自己免疫疾患に伴う発熱とはメカニズムが異なります。体温調節中枢そのものが障害されることによって起こる異常な体温上昇であり、これらの薬剤での解熱効果は期待できません。
むしろ、熱中症では肝臓や腎臓の障害を引き起こし、血液凝固異常を悪化させるリスクが指摘されており、使用は避けるべきとされています。
このため、頭痛に対しても使用は推奨されません。
症状が出た場合は、まず涼しい場所に移動し、冷却と水分や塩分の補給を優先することが大切です。市販薬に頼るのではなく、医療機関での評価を受けることが望まれます。
病院での治療法を教えてください
病院ではまず、問診や診察、必要に応じて血液検査や画像検査などを行い、頭痛の原因が日射病(熱中症)によるものかどうかを確認します。特に、高温環境にいた状況や、めまいや多量発汗などの症状がある場合は、熱中症が疑われます。
熱中症による頭痛と診断された場合には、体温を下げるための冷却処置や、点滴による水分や電解質の補正が行われます。
さらに、肝臓や腎臓の障害、血液凝固異常などがみられる場合や、意識障害を伴う重症例では、集中治療室(ICU)での管理を含む、より高度な治療が必要になることもあります。
編集部まとめ

日射病(熱中症)による頭痛は、体温調節機能がうまく働かなくなっているサインかもしれません。
炎天下で過ごした後に、頭痛とともにめまい、立ちくらみ、嘔吐などの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
熱中症に伴う頭痛は、重症化のリスクを含んでいます。早めの対応が、症状の悪化を防ぐ大切なポイントです。
参考文献
救急車で搬送された山口県内熱中症患者の重症度に関する疫学調査. JJAAM 2007;18:694-700.Duncanson JG. SUNSTROKE. The Lancet. 1903;161(4146):300–301.
日本救急医学会. 熱中症診療ガイドライン 2024
熱中症(熱射病、日射病)を予防しましょう
厚生労働省. 上手な医療のかかり方
Di Lorenzo C et al. BMJ Case Rep. 2009 Feb 2;2009:
- 「日射病」とはどんな病気かご存知ですか?症状や応急処置も解説!【医師監修】
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