美容の悩みとして多くの人が抱える「たるみ」。実は皮膚や筋肉、脂肪など、さまざまな要素が関わって起こることをご存じですか? 今回はたるみのメカニズムと治療法について、スマートスキンクリニックグループ統括院長の石井先生に聞きました。
※2026年6月取材。

監修医師:
石井 晃太(スマートスキンクリニックグループ)
順天堂大学医学部を卒業。2016〜2022年に東京女子医科大学病院および関連施設、2022〜2023年に都内の美容クリニックに勤務。2023年にスマートスキンクリニックを開業し、現在はグループ統括院長を務める。日本外科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。「肌育注入・たるみ治療・再生医療」という、加齢による変化と向き合う3つの領域を専門とし、エイジングケアの拠点となるクリニックを目指す。「丁寧で心ある対応」をクリニックの理念とし、日々の診療に取り組んでいる。
たるみは加齢による皮膚・脂肪・骨などの変化で起こる
編集部
顔のたるみは、なぜ起こるのでしょうか?
石井先生
結論から言うと、顔のたるみは皮膚だけの問題ではなく、複数の層(皮膚・脂肪・骨・筋肉など)の変化が重なって起こる現象です。加齢とともに皮膚のハリが低下すると、脂肪の位置や量が変わり、骨の支えも少しずつ変化します。さらに、表情筋やそれを支える組織のバランスも変わるため、顔全体の土台が弱くなり、重力に負けやすくなります。
編集部
皮膚の変化は、たるみにどう関係するのでしょうか?
石井先生
皮膚のハリは、内部にあるコラーゲンやエラスチンという線維が支えています。これらは年齢とともに減っていくため、肌は形を保つ力(弾力)を失い、重力に負けて緩みやすくなります。さらに、紫外線や喫煙はコラーゲンやエラスチンの分解を早めるため、たるみが進みやすくなります。皮膚のたるみは、自然な加齢だけでなく、日々の紫外線や生活習慣の影響も受けるのです。
編集部
脂肪の変化も、たるみに関わるのでしょうか?
石井先生
はい。顔の脂肪は年齢とともに減少したり、下垂したりすることがあり、その結果、頬のこけ、ほうれい線、フェイスラインのもたつきが目立ちやすくなります。特に、額やこめかみ、目の下などはボリュームが減って(しぼんで)こけやすく、頬やフェイスラインでは脂肪が下垂して、たるみが目立つようになります。
編集部
骨は、たるみとどう関わるのでしょうか?
石井先生
顔の骨は、その上にある筋肉や脂肪、皮膚を支える「土台」です。ところが加齢に伴って、顔の骨は少しずつ痩せて縮んでいきます。土台となる骨が小さくなると、上に乗る脂肪や皮膚を支えきれなくなり、全体が下がってたるみにつながります。
編集部
筋肉の変化は、たるみにどう影響しますか?
石井先生
筋肉そのものというより、筋肉や脂肪を支える組織の緩みが、たるみの大きな原因になります。特に重要なのは、表情筋や脂肪を包み込んで支えているSMAS(表在性筋膜)や、皮膚を骨につなぎとめる靱帯(リガメント)の緩みです。加齢によってこのSMASや靱帯が緩むと、頬やフェイスラインを支える力が弱まり、脂肪や皮膚が下がって見えやすくなります。
たるみのタイプ別の特徴
編集部
たるみには、どのようなタイプがあるのでしょうか?
石井先生
大きく分けると、皮膚のハリ低下が目立つタイプ、脂肪が下垂して輪郭が崩れるタイプ、脂肪や骨の変化でボリュームが減って影が出るタイプ、そしてそれらが混ざったタイプがあります。実際には一つだけではなく、複数の要素が重なっていることも多いため、自分で自覚するのは難しいかもしれません。しかし、それぞれケアや対処法が異なるので、タイプを理解しておくことは大切です。
編集部
1つ目の「皮膚のハリ低下が目立つタイプ」とは、どのような状態でしょうか?
石井先生
このタイプは、肌表面の弾力低下が中心で、頬や口元の皮膚が何となく緩み、細かいシワや毛穴の開きも目立ちやすい状態です。コラーゲンやエラスチンの減少、紫外線、乾燥、喫煙などが原因で起こります。まだ大きく下垂しているわけではありません。何となく「皮膚がしぼんで、緩んだ感じ」とイメージすると分かりやすいかもしれません。
編集部
2つ目の「脂肪が下垂して輪郭が崩れるタイプ」とは、どのような状態ですか?
石井先生
頬の位置が下がってほうれい線やマリオネットライン(口角から下に伸びるシワ)が深く見えたり、フェイスラインにもたつきが出たりする状態です。特徴を挙げるとすれば、若いころより輪郭がぼやけ、口元が重く見える点でしょう。このタイプは、単に皮膚を引き締めるだけでは改善が不十分なことがあり、脂肪の位置や量をどう扱うかが治療のポイントになります。
編集部
3つ目の「ボリュームが減って影が出るタイプ」についても教えてください。
石井先生
加齢により頬やこめかみのボリュームが減った影響で、実際に大きく下がっていなくても、影が強くなってたるんで見えることがある人は、このタイプに当てはまります。「下垂」というより、「支えが減って老けて見える」といったほうがよいかもしれません。特に、痩せ顔の人や急激に体重が落ちた人は、このタイプに分類される傾向があります。このタイプの人がたるみ治療を受ける場合、どう引き上げるかだけでなく、ボリュームをどう取り戻すかも考える必要があります。

