理由判明
その理由が分かったのは、帰省した時のことでした。
朝から母は台所で忙しそうに動いています。
炊き込みご飯を作り、いなり寿司の準備をしながら、新しい炊飯器と古い一升炊きの炊飯器を並べてご飯を炊き始めました。
テーブルには保存容器が並び、炊き上がったご飯が次々と移されていきます。
「そんなに作ってどうするん?」私がそう聞くと、母は手を動かしながら当然のように言いました。
「持って帰るやろ」出来上がった料理は、私たちに持たせる分として次々と容器へ詰められていったのです。
親の気持ち
帰る頃には、車の中は炊き込みご飯やおかず、野菜などでいっぱいに。
私はずっと、なぜ二人暮らしなのに一升炊きが必要なのだろうと思っていました。
けれど母にとってあの炊飯器は、自分たちのためではありませんでした。
帰ってくる子どもたちに持たせるためのものだったのです。
最近は「しんどい」と口にすることも増えた母ですが、それでも私たちが帰省するとたくさん料理を作ろうとします。
親にとって子どもは何歳になっても子どもなのだと、改めて感じた出来事です。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

