「前頭側頭型認知症」の”初期から末期までの症状”はご存じですか?医師が解説!

「前頭側頭型認知症」の”初期から末期までの症状”はご存じですか?医師が解説!

前頭側頭型認知症の進行別の症状はどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医が前頭側頭型認知症の概要と進行別の症状(初期・中期・末期)について解説します。

※この記事はメディカルドックにて『40代から発症する「前頭側頭型認知症」は進行が早い?平均寿命や症状も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

前田 佳宏

監修医師:
前田 佳宏(医師)

・和クリニック 院長
・精神科/心療内科医
・精神保健指定医
「泣きたくなったら壁を押せ」著者
大人と子どもの双方で、トラウマや愛着障害に心理療法的アプローチを用いる医師。これまでのべ3,000人以上の臨床に携わる。
島根大学医学部卒業。その後、東京大学医学部附属病院精神神経科に入局、東京警察病院や国立精神神経医療研究センター等を経て、児童精神科外来を3年間、トラウマ専門外来を2年間担当。著書『泣きたくなったら壁を押せ』(サンマーク出版、2026年)では、心理療法のプロセスを物語として描き、私たちの感情の奥にある“適応の物語”をたどった。その視点をともに探る場として、オンラインコミュニティ「しなここメイト」を主宰。cotree顧問医。産業医。日本小児精神神経学会所属。

「前頭側頭型認知症」とは?

前頭側頭葉変性症(FTLD)は、前頭葉と側頭葉を中心とした神経細胞の変性や脱落によって、行動異常、精神症状、言語障害などが出現する病気です。FTLDは、症状に基づいて以下のように分けられます。

前頭前野の萎縮が主体の行動障害型前頭側頭型認知症(bvFTD)

側頭極ならびに中・下側頭回などの萎縮がある意味性認知症(SD)

左優位でシルビウス裂周囲の限局性萎縮を呈する進行性非流暢性失語(PNFA)

そして、前頭側頭型認知症(FTD)はこの3つの概念を含む臨床診断名として使われています。なお、bvFTDとSDは日本では指定難病になっています。
前頭側頭型認知症は、記憶障害が主症状となるアルツハイマー型認知症とは異なり、初期から性格や行動に変化が現れるのが特徴です。比較的若い年齢(40~60歳代)で発症することが多く、進行が早い傾向があります。

前頭側頭型認知症の進行別の症状

前頭側頭型認知症は、時間の経過とともに症状が悪化していきます。
前頭側頭型認知症の進行度を定量化するために、前頭側頭型認知症評価尺度(Frontotemporal dementia rating scale,FTD-RS)が開発されています。
これは、行動、外出や買い物、家事や電話の使用、金銭管理、薬の管理、食事の準備と摂取、自己管理と移動の領域にわたる30項目の質問票を使用します。
各項目は、介護者によって頻度が評価され、それらをもとに6つの重症度ステージに分類されます。ここでは初期、中期、末期の症状に分類して説明します。

初期症状

初期の段階は、FTD-RSでの非常に軽度(Very Mild)、軽度(Mild)の段階と言えるでしょう。
軽度の社会的行動の変化(社交性の低下、ルールを守れなくなる)や、些細な性格変化(無関心や感情の平板化)がみられます。また、軽度の金銭管理のミスや計画性の低下も現れてきます。家事や仕事のパフォーマンスが少し低下しますが、まだ自立可能です。
アルツハイマー型認知症とは異なり、初期の段階では記憶障害はそれほど強くはありません。

中期症状

中期の段階は、FTD-RSでの中等度(Moderate)、重度(Severe)の段階といえます。
行動異常(常同行動や脱抑制、暴言、異常な食習慣)が目立つようになります。また、言語の問題として、意味の理解が困難、会話が単調になることもあります。衛生管理が低下し、入浴を嫌がる、着替えをしないといった行動がみられることもあります。また、自分での食事管理が難しくなり、異常な食行動が目立つようになります。しかし、介助が必要な場面が増えるものの、まだ部分的に自立している状態です。

末期症状

末期の段階は、FTD-RSでの非常に重度(Very Severe)、深刻(Profound)に該当すると考えられます。
この段階では、完全に言葉を発しなくなり失語の状態になります。また、自発的な行動がほぼ消失し、無動性が目立ちます。嚥下障害が進行し、誤嚥性肺炎のリスクも高まります。排泄管理が難しくなり、完全な介護が必要です。筋力低下により歩行困難、寝たきりになる可能性が高いです。

配信元: Medical DOC

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