彼からのプロポーズは、特別な形でやってくるものだと思っていました。夜景の見えるレストランや旅行先など、特別なシチュエーションを想像していたのですが、私たちの場合はまったく違いました。しかも私は、その大事な瞬間を聞き逃してしまったのです。
いつも通りの夕食だったはずが…
当時、私たちは結婚を前提にお付き合いしていました。その日も特別な予定はなく、自宅でいつも通り夕食を食べていました。仕事の話をしたり、テレビを見たり、本当に普段と変わらない時間を過ごしていた私たち。
すると彼が何かを話し始めました。しかし、あまりにも普段通りの雰囲気だったため、私は何気ない会話のひとつだと思っていたのです。
「うんうん」と、いつもの会話の延長のように生返事をしてしまいました。
突然流れた気まずい空気
ところが、その直後でした。彼が急に黙り込んでしまったのです。先ほどまで普通に会話していたのに、なぜか微妙な空気が流れ始めました。
私は何が起きたのかわからず戸惑いましたが、彼はどこか納得していないような表情をしていました。そして少し間を置いてから、こう言ったのです。
「……ちゃんと聞いてた?」
その言葉を聞いた瞬間、私は慌てました。
もしかして、何か大事な話をしていたのだろうか。そう思って記憶をたどってみると……。

