診断されたら何をすべきか 治療の選択肢と脳梗塞予防の実際
編集部
心房細動と診断された場合、どのような治療の選択肢があるのでしょうか?
津田先生
心房細動の治療には、脳梗塞を防ぐ「抗凝固療法(血液をサラサラにする薬)」をベースに、脈の乱れを抑える「抗不整脈薬(脈の乱れを抑える薬)」、そして根治を目指す「カテーテルアブレーション」の選択肢があります。まずは抗不整脈薬で脈のコントロールを試みるのが一般的です。薬物療法で効果が不十分な場合や副作用がある場合の有力な選択肢となるのがカテーテルアブレーションです。国内外のガイドラインや臨床試験データにおいて、アブレーションは抗不整脈薬と比較して、正常な脈の維持率が有意に高いというエビデンスが示されています。
編集部
脳梗塞予防のために行う抗凝固療法について教えてください。服薬はどのくらい続ける必要があるのでしょうか。
津田先生
服薬の期間は、原則として生涯にわたる継続が必要です。心房細動による脳梗塞を防ぐ抗凝固療法は、脳梗塞のリスクを評価基準に基づき、医師が導入を判断します。心房細動の発作が治まっている時期であっても脳梗塞のリスクは消えないため、自己判断での中断は危険です。カテーテルアブレーションが成功した後は、薬を減らしたり将来的に中止できたりする可能性もあります。ただし、年齢や持病によって脳梗塞リスクは一人ひとり異なるため、治療後も医師の判断のもとで適切に継続することが大切です。
編集部
心房細動の治療には副作用はあるのでしょうか。治療後の日常生活で気をつけるべきことはありますか。
津田先生
心房細動の治療には、選択肢に応じた副作用や合併症のリスクが存在します。抗凝固療法では、脳梗塞を防ぐ反面、出血リスクが高まるため微小な出血(鼻血や歯肉出血)にも注意が必要です。また、カテーテルアブレーション治療では、血管穿刺部の血腫や心タンポナーデ(心臓の周囲に血液が溜まり心臓が圧迫される状態)などの合併症が数%の割合で報告されています。治療後の日常生活では、過度な飲酒の制限、転倒・けがの予防、血圧の厳格なコントロールが不可欠です。
編集部
心房細動の予防や悪化予防のために、日常生活で気をつけるべきことはありますか?
津田先生
心房細動の予防・悪化防止には、減量と節酒を筆頭に生活習慣の改善が有効です。そのほかにも、適度な有酸素運動、減塩による高血圧の管理、睡眠時無呼吸症候群の治療が推奨されます。日々の血圧管理とスマートウォッチなどによるセルフチェックを習慣化し、異常を早期に察知することが大切です。
編集部まとめ
心房細動は、自覚症状がないまま進行するケースも多い不整脈です。放置すると脳梗塞や心不全などの重篤な病気につながる可能性があります。一方で、早期に発見し、適切な治療や脳梗塞予防を行うことで、将来のリスク低減が期待できます。近年はスマートウォッチや家庭用心電計などにより、不整脈のサインに気づきやすくなりました。動悸や息切れがある人はもちろん、不規則な脈を指摘された人も、一度循環器内科へ相談してみてはいかがでしょうか。本稿が読者の皆様にとって、心房細動への理解を深め、受診を考えるきっかけとなりましたら幸いです。

