「渇いてから」では遅い―熱中症予防に必須“戦略的補水”のカギは「先回り」:熱中症特集第2回「予防編」

「渇いてから」では遅い―熱中症予防に必須“戦略的補水”のカギは「先回り」:熱中症特集第2回「予防編」

「熱中症予防には水分摂取が重要」――そのとおり、ではあります。では、いつ・どのように水分を取るかを意識しているでしょうか。熱中症にならないためには「渇いたら飲む」では遅く、“戦略的”な水分摂取が重要です。記録的な暑さが年々早まり、ゴールデンウィーク明けから熱中症で搬送される人が出る時代になりました。熱中症は重症化すれば命に関わる一方で、日々の工夫で防げる部分も多い病気です。熱中症特集第2回「予防編」では、関西医科大学医学部 救急医学講座 講師の島崎淳也先生に、“正しい”水分補給の方法に加え、屋外と屋内それぞれの注意点、子どもや高齢の人の守り方、夏に負けない体づくりなどについてお聞きしました。


屋外と屋内、気をつけるポイントは違う

同じ気温でも、屋外と屋内で体が受ける影響は違います。屋外では日差しや風の影響が大きく、屋内では場所による差が出ます。それぞれに合った対策を知っておくことが大切です。

屋外―まずは直射日光を避ける

屋外でもっともリスクが高いのは、直射日光をそのまま浴びることです。帽子をかぶる、風通しのよい服を選ぶ、日差しの届かない木陰へ移動する、といった基本を意識して行うことが大事です。最近は男性でも日傘を使う人が増えました。日傘は直射日光を遮る効果があり、とても有効だと思います。

服装にも工夫の余地があります。体を強く締め付ける服や厚着は避け、風通しがよくゆったりした服が一般的にすすめられます。黒系の色は熱を吸収しやすく、白系の色のほうが暑さを和らげる効果があるとされています。

屋内―窓際・遮光・エアコンを上手に

屋内は、実は場所によって暑さの程度がかなり違います。特に窓際で日光が差し込むところはリスクが高く、入院中の患者さんでも、窓際の人が熱中症のようになってしまうことがあるほどです。遮光性のあるカーテンやブラインドで直射日光を抑えるのは、屋内では有効な対策です。

風通しについては、窓を開けたほうがよいか閉めたほうがよいか、意見が分かれます。外気温が極端に高くない場合は、窓を開けて風通しを良くすると熱中症予防になることもあります。ただし、外気温が35℃や40℃近くまで上がり、体温を超えるような日には、いくら窓を開けて風を通しても予防にはつながりません。盛夏にエアコンを使うことのデメリットはほとんどありませんので、ためらわずつけて部屋の環境を整えてください。

子どもと高齢の人は「周りが守る」

子どもは体温を調節する機能が未発達で、暑い環境に行くと体温がすぐに上がってしまいます。しかも、自分で不調をうまく訴えられません。同じことは高齢の人や介護が必要な人にも当てはまり、周りの大人の注意が欠かせません。

子どもは汗・おしっこを「サイン」に

体が小さいと、体重のわりに体の表面積が大きいため、外の熱を受けると体の中がすぐに温まってしまいます。発汗のしくみも発達の途中で、熱を下げる力が十分ではありません。だからこそ、大人が先回りして守る必要があります。

はたで見てわかるほど体が熱くなっていたら、涼しいところで冷やし、運動させずに休ませてください。子どもはのどが渇いても自分から飲まないことがあるので、運動の前や帰宅後など、大人が定期的に水分摂取を促すことが大切です。おしっこも大事な手がかりです。半日も尿が出ていなければ、明らかな脱水のサインです。出ても量が少なく色が濃いときは、水分が足りていません。こうした、気づかないうちに進む脱水(隠れ脱水)を見逃さないことが、子どもを守る第一歩になります。

また、暑い環境にいるのに、それまでかいていた汗が引いてしまったときは、すでに危険なゾーンに入っています。汗をかいているうちは、まだ体の冷却機能が働いている証拠です。子どもは大人より重症化までの時間が短いので、汗が止まったら冷却と水分補給を急いでください。

自分で症状を訴えにくく、体を冷やす力も衰えている――この点で、高齢の人や介護が必要な人は子どもと共通します。周りが積極的に水分摂取を促し、屋外で活動するときには体を冷やすことも意識してあげてください。

配信元: Medical DOC

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