膠原病では関節や内臓だけでなく、皮膚にも症状が出ます。かゆみもその一つですが、すべての膠原病で同じ出方をするわけではありません。皮膚筋炎ではかゆみを伴う皮疹が目立ちやすく、全身性エリテマトーデスでは日光をきっかけに皮膚症状が強まりやすい傾向があります。全身性強皮症では皮膚硬化や乾燥、血流低下が重なり、不快感やかゆみにつながることがあります。かゆみだけで判断せず、赤み、むくみ、皮膚の硬さ、脱毛、潰瘍なども一緒にみることが大切です。
この記事では、膠原病による皮膚のかゆみの特徴や症状が出るメカニズム、対処法を解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター
膠原病による皮膚のかゆみの特徴

膠原病による皮膚のかゆみにはどのような特徴がありますか?
膠原病のかゆみは、皮疹と一緒に出ることが多い点が特徴です。特に皮膚筋炎では、まぶたの赤紫色の発疹、手指関節の紅斑、首から胸元や背中の発疹にかゆみを伴いやすく、かゆみが先に気になる方もいます。
全身性エリテマトーデスでは、日光に当たりやすい部位の赤みやひりつきにかゆみを伴うことがあります。
全身性強皮症では、皮膚が張る感じ、乾燥、汗の減少、血流低下が重なって、慢性的なかゆみや不快感につながることがあります。
参照:
『皮膚筋炎/多発性筋炎(指定難病50)』(難病情報センター)
『全身性エリテマトーデス(SLE)(指定難病49)』(難病情報センター)
『全身性強皮症(指定難病51)』(難病情報センター)
かゆみ以外にはどのような皮膚症状が現れますか?
現れる症状は病気ごとに異なります。全身性エリテマトーデスでは蝶形紅(蝶のような形の赤い発疹)、円板状皮疹、口内炎、脱毛がみられます。皮膚筋炎ではヘリオトロープ疹(まぶたが紫色っぽくなる発疹)、ゴットロン丘疹(指の関節にできるブツブツ)、V徴候・ショール徴候(胸元や首から肩、背中にかけて出る赤い発疹)が代表的です。全身性強皮症では手指の腫れ、皮膚硬化、色素の変化、指先の傷や潰瘍が問題になります。かゆみだけでなく、どのような皮疹が出ているかを確かめることが、受診先や治療方針を考えるうえで役立ちます。
参照:
『皮膚筋炎/多発性筋炎(指定難病50)』(難病情報センター)
『全身性エリテマトーデス(SLE)(指定難病49)』(難病情報センター)
『全身性強皮症(指定難病51)』(難病情報センター)
膠原病による皮膚のかゆみはどの程度の時間継続しますか?
続く期間は一定ではありません。紫外線や摩擦をきっかけに数日から数週間強く出ることもあれば、病気の活動性が高い時期には数週間から数ヶ月続くこともあります。皮膚筋炎では皮膚症状が病勢と並行して長引くことがあり、全身性強皮症では乾燥や皮膚硬化が続くため、慢性的に気になる方もいます。短期間で治まるとは限らないため、同じ部位のかゆみが続くときは、自己判断で長く様子をみない方がよいでしょう。
日光や気温などの外的環境によって膠原病の皮膚のかゆみが悪化することはありますか?
悪化することがあります。全身性エリテマトーデスでは日光過敏がよく知られており、紫外線で皮膚症状が強まりやすい病気です。皮膚筋炎でも紫外線対策は日常管理の一つとされています。全身性強皮症では冷えがレイノー現象や指先の傷の悪化につながり、乾燥や摩擦も皮膚の不快感を強めます。熱いお湯での入浴や刺激の強い衣類も、かゆみを強めるきっかけになりえます。季節の変わり目は室内外の温度差も刺激になりやすいため、急な冷えや乾燥を避ける工夫も役立ちます。また、夏は汗や蒸れが刺激になりやすく、冬は空気の乾燥で皮膚のつっぱり感が強まりやすくなります。気候に応じて衣類や保湿の方法を調整すると、皮膚への負担を減らしやすくなります。
膠原病で皮膚にかゆみが生じるメカニズム

なぜ膠原病で皮膚のかゆみが生じるのですか?
膠原病では免疫の異常によって皮膚に炎症が起こり、そこに乾燥や皮膚バリアの低下が重なることで、かゆみが出やすくなります。皮膚筋炎では、かゆみに関わるサイトカインや皮膚の神経まわりの変化が関与する可能性が示されています。
全身性強皮症では、皮膚硬化の進行で汗が減って乾燥しやすくなり、さらに血流障害も加わって不快感が続きやすくなります。
かゆみは単なる乾燥だけでなく、炎症、神経刺激、皮膚バリア低下が重なって起こる症状です。
参照:『皮膚瘙痒症診療ガイドライン 2020』(公益社団法人 日本皮膚科学会)
日光でかゆみが生じるメカニズムを教えてください
紫外線は皮膚の細胞にダメージを与え、炎症を引き起こします。全身性エリテマトーデスでは、この反応が強く出やすく、日光を浴びた後に赤み、発疹、水疱、ひりつきが出ることがあります。皮膚ループスでは、紫外線が皮膚の免疫反応を変化させ、皮疹が長引く要因になることも知られています。皮膚筋炎でも紫外線は皮膚症状を悪化させる一因です。日光に当たった後にかゆみが強くなるときは、日焼けだけでなく、膠原病に伴う皮膚症状が影響していることがあります。

