治療を続けるかやめるか… 決断に迷ったときは
編集部
治療を続けるかやめるか、迷う人は多いと思います。判断の目安はありますか?
深川先生
難しい問題です。しかし、医学的な視点では「卵胞が育たない」「採卵しても卵子が得られない」といった場合、体への負担を考慮して方向転換を検討する場合もあります。すぐに「やめる」と決めるのではなく、これまでの治療経過を分析し、改善の余地があるかを一緒に見極めていきます。
また、治療を始める段階で、「保険診療の範囲内で続けて、自費になったら区切りをつける」「◯歳まで」「治療期間◯年間」など、自分なりの基準をあらかじめ考えておくとよいでしょう。
編集部
治療を休む選択肢もありますか?
深川先生
はい。体と心を休める時間はとても大切です。ホルモンバランスはストレスに影響を受けやすいため、一時的に休むと自然妊娠に至るケースもあります。「一度立ち止まる勇気」も、前向きな選択のひとつです。
編集部
クリニックを変える選択についてはどうでしょうか?
深川先生
転院も有効な選択です。治療方針や培養環境はクリニックによって異なります。「卵子は採れても受精卵が育たない」というケースでは、施設における培養条件や方針の違いで結果が変わる場合もあります。医師との相性も含め、転院は決してネガティブな選択ではありません。
編集部
最後に、メディカルドック読者へのメッセージをお願いします。
深川先生
診療で大切にしている方針は、患者さん自身が理解し、納得したうえで検査や治療を選択できるようサポートする姿勢です。医療側の提案に流されてしまうと、「自分はどうしたいのか」という思いが見えにくくなります。一方で、理解しながら治療を進めていけば、たとえ思うような結果が得られなくても気持ちの整理がしやすくなります。
もちろん、医師の提案を受け入れる姿勢も大切ですが、その際も不安や疑問があれば遠慮せず質問し、納得感を持って進める意識が大切です。それにより、「ここまでやったから一区切りにしよう」と自分で判断しやすくなります。治療をやめる決断は簡単ではありませんが、どのような結果であっても後悔のないよう、一つひとつの選択を大切にしていきましょう。
編集部まとめ
不妊治療を「続ける」「休む」「やめる」――どの選択にも、正解はありません。大切なのは、お二人が納得できる形で次のステップを決める姿勢です。医学的にも心理的にも、“区切り”をつける判断は前向きな選択の一つです。焦らず自分たちのペースで、医師や周囲のサポートを頼りながら歩んでください。

