父は本木雅弘。その父が出演したトーク番組『A Studio +』(TBS系)2026年6月19日放送回で、息子のデビューの話題になり、ひとまず安堵していた。
祖母・樹木希林の後押しもあり、12歳でスイスに留学。異国風の存在感が俳優デビューを裏打ちする。“イケメン研究家”加賀谷健が解説する。
日本映画の資源とハイブリッド性
Netflixシリーズ『ガス人間』のタイトルロールで、UTAが俳優デビューを果たしたことには、“ハイブリッド”な歴史的意義があると思うのだ。本作は1960年に公開された『ガス人間㐧一号』を刷新したリブート版だが、1960年というと映画館で映画を観る人口がまだ年間のべ10億人もいた時代だった(近年は2億人にも満たない)。
『ガス人間㐧一号』の監督は本多猪四郎。代表作は何と言っても、1954年公開の『ゴジラ』である。ゴジラは現在までにハリウッド映画化も含む、数々の大ヒット作を生み出す、東宝が誇る日本映画の資源だ。
本多は1933年に東宝の前身となるP.C.L.映画製作所に入社した。助監督仲間に1936年入社の黒澤明がいる。黒澤もまた1954年に代表作『七人の侍』を公開した。時代劇の巨匠監督として1957年には、シェイクスピアの『マクベス』を翻案した『蜘蛛の巣城』を公開。『ガス人間㐧一号』も実はアメリカの脚本家の短編を原作にしながら、作品内には日本舞踊を取り込んでいる。
今回のUTAの俳優デビューは、こうした日本映画のハイブリッド性とその歴史の文脈として考えるべきだろう。
UTAの演技が産声を上げる瞬間
『ガス人間㐧一号』で役作りのために減量し、タイトルロールを演じたのは、名優・土屋嘉男だった。土屋演じるガス人間は、生体実験によって生み出され、日本舞踊の家元・藤千代(八千草薫)を支援するため、銀行ギャングを繰り返した。家元との許されざる愛を育む、主体的なキャラクターでもあった。一方、UTAが演じるガス人間(レン)は、隕石が落下したエリアで違法な強制労働をさせられる中で身体が変異した。さらに命令されて行動するというキャラクター性は、極めて受動的である。ガス化した彼は幸せな思い出が宿る廃屋に石像化したところ、犯罪に利用されることになったのだ。
レンは、サザンオールスターズの名曲「いとしのエリー」が流れると、元の肉体の姿で出現する。身長189センチのUTAが、画面上に全裸で屹立する佇まいがオブジェ感を強調する。しかしかつては人間であり、主体的な好青年だった。レンがガス人間になる前の場面では、UTAの演技が産声を上げる瞬間が垣間見える。

